将棋の西山朋佳女流3冠（女王・女流王座・女流王将＝25）が女性初の決勝トーナメント進出を目指す、第92期ヒューリック杯棋聖戦2次予選決勝、屋敷伸之九段（49）戦が27日午前10時、東京・千駄ケ谷「将棋会館」で始まった。振り駒で金が3枚出て、西山が先手で初手先手5六歩、対する後手の屋敷は後手8四歩とした。

西山は1次予選から登場。1回戦で泉正樹八段（60）を下すと、渡辺和史四段（26）、片上大輔七段（39）、北島忠雄七段（55）を倒し、女性として初めてこの棋戦で1予を突破した。2予でも初戦で森下卓九段（54）を下して、勝ち上がってきた。振り飛車党で、早くも5手目に先手5八飛と、中飛車を採用した。屋敷に勝てば、女性として初めて8大タイトル（竜王・名人・王位・王座・棋王・叡王・王将・棋聖）戦の本戦入りとなる。

対する屋敷は、藤井聡太棋聖（王位＝18）に更新されるまで、17歳10カ月24日でのタイトル戦挑戦権獲得、18歳6カ月の史上最年少タイトルで棋聖を獲得した記録の持ち主。「忍者屋敷」「お化け屋敷」の異名を持っており、変幻自在な指し回しが魅力だ。

現在、西山はプロ棋士養成機関「奨励会」の第68回三段リーグにも所属している。今期は8勝4敗で、プロ（四段）への昇段争いに加わっている。20年3月に終了した第66回は14勝4敗で次点となっている。

女流棋戦にも参加し、女王3期、女流王座と女流王将を各2期保持。里見香奈女流4冠（清麗・女流名人・女流王位・倉敷藤花＝28）とタイトルを分け合っている。全棋士参加の棋戦では、昨年の竜王戦6組でベスト4まで勝ち進んでいた。今回は、壁を突破できるか。注目の一戦だ。

持ち時間は各3時間。27日夕方には決着の見込みだ。