ギョーザの街として有名な栃木県宇都宮市の、まさに隣に位置する鹿沼市が、シウマイを街の名物にしようと躍起になっている。同市は「シウマイ弁当」で知られる崎陽軒(横浜市)初代社長の故野並茂吉氏の出身地。鹿沼商工会議所は東京芸大ともタッグを組み、シウマイ像を建設予定。崎陽軒の手法やレシピも伝授する方向で、協力態勢も万全だ。新型コロナウイルス感染拡大の中、市を盛り上げるため、広く長く愛される地元グルメの定着を目指す。

鹿沼商工会議所は、シウマイを街の名物に押し上げるのを目標に、昨年10月、シウマイの大看板・崎陽軒本店で締結式を行った。東京芸大とも連携し、9月にはJR鹿沼駅前に宇都宮市の「餃子像」ならぬ「シウマイ像」の設置も決まっている。さらに、来月には鹿沼市の飲食店を対象に、崎陽軒の社員による「簡単シウマイづくり教室」を開催して、鹿沼市の活動をバックアップする方針だ。

鹿沼市は15年の関東・東北豪雨や、19年の台風19号などの天災の被害を大きく受け、コロナ禍にも見舞われた。暗い話題が多い中、何とか街を盛り上げようと、鹿沼商工会議所が新しい取り組みとしてシウマイに目を付けた。鹿沼商工会議所の経営支援課長の水越啓悟さんは「一般の方には、シウマイに力を入れていることをまだほとんど知られていない」と明かしたが、一部のスーパーではシウマイ売り場に崎陽軒の特設スペースなどができ、締結式後の昨年10月から約1・5倍に売り上げが増えた。

水越さんによると、鹿沼市の飲食店は現在約350軒。そのうちシウマイを食べられる飲食店は約15店舗ほどだが、新たにメニューにシウマイを加える予定の飲食店が約20店舗ほどあるという。「シウマイの提供に興味がある飲食店の方に、商品化できるようフォローしていきたい」と語った。創業7年のラーメン屋「山いち」では、自家製チャーシューを餡にしてシウマイを作り「チャーシウマイラーメン」(税込740円)を4月から販売し始めた。

ギョーザの街宇都宮市とも良好な関係を築いていく。水越さんは「宇■宮はギョーザを20~30年もかけてブランディングしている。教えてもらえるところは教えていただきたい」と語った。昨年11月29日(いい肉の日)に、鹿沼市唯一のシウマイテークアウト専門店「笑福シウマイ」を開店した、福田勇紀さんは「宇■宮のギョーザも街おこしで始まりました。私たちも時間をかけてシウマイの街というのを全国に浸透させたい」と話した。その上で「今後、観光客などが増えてくれれば良いかなと思います」と期待を込めた。【沢田直人】

※■は都の日の右上に「、」