藤井聡太棋聖(王位=18)が初防衛に向けて好スタートを切った。6日、千葉県木更津市「竜宮城スパホテル三日月」で行われた第92期ヒューリック杯棋聖戦5番勝負第1局で、挑戦者の渡辺明名人(棋王・王将=37)を下した。

第2局は18日、兵庫県洲本市「ホテルニューアワジ」で行われる。

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今局は両者が激突した、今年2月の朝日杯準決勝と途中まで同じ進行でした。先手の渡辺さんは相当、改良を加えて挑んだのでしょう。自信を持って投げた球がいとも簡単にはじき返された感じで、藤井さんの研究量の方が一枚上でした。

60手目後手8八歩の「手裏剣」は鮮やか。65手目先手4五桂に対する次の後手3三桂(66手目)は、気付きませんでした。角道をふさぎますが、相手に攻めを催促しておいて、70手目後手4二玉で早逃げという「押し引き」は見事でした。まさに「盲点」でした。藤井さんの「肉を切らせて骨を断つ」という棋風が出ていました。勢いのある挑戦者に対し、後手番で先勝して、次は先手番。藤井さんがシリーズはがぜん有利とみました。