新型コロナウイルス対策として10都道府県に発令中の緊急事態宣言について政府は16日、期限の20日を前に解除の可否判断へ向けた最終調整に入った。西村康稔経済再生相、田村憲久厚労相ら関係閣僚と最終的な協議を行った菅義偉首相は「明日、専門家の意見を伺った上で判断したい」と明言した。

政府案は沖縄県を除く9都道府県で緊急事態宣言が解除され、東京、大阪、愛知の3都府県は、まん延防止等重点措置に移行する方向で、期間は7月11日までと見られる。北海道、京都、兵庫、岡山、広島、福岡の6道府県も解除が有力視されている。政府は、きょう17日に対策本部会合を開き、菅首相が会見で説明する方向で調整している。

政府関係者によると20日まで、まん延防止等重点措置が適用されている埼玉、千葉、神奈川3県は、東京と隣接している首都圏であることから延長の可能性が高く、愛知に隣接する岐阜、三重の2県については解除する方向で検討に入った。

緊急事態宣言の解除は東京五輪・パラリンピックをめぐっても、大きなカギを握る。この日、西村経済再生相は「五輪・パラの観客上限や在り方を今日、決めたわけではない」としながらも、緊急事態宣言とまん延防止等重点措置の解除後は、スポーツ大会といった大規模イベントの観客数は会場の定員50%以内であれば1万人を上限とする方針となったことを明らかにした。さらに西村氏は、緊急事態宣言を五輪開催中に発令する可能性もあることを示唆するなど、五輪開催をにらんだコロナ対策には、現状でも変わらず、波紋が広がっている。