東京都は5日、新型コロナウイルスの感染者が新たに5042人確認されたと発表した。4日の4166人を超えて2日連続で過去最多を更新。7月28日に初めて3000人、同31日に4000人を超えたばかりだが、1週間もたたずに初の5000人台に達した。前週の木曜日から1177人も増えた。また新たに1人の死亡も確認。入院患者のうち重症者は前日に比べ20人増えて135人になった。

直近7日間を平均した1日当たりの新規感染者は3646・9人。前週比は164%となった。

発表前に行われた都のモニタリング会議では、増加ペースが継続すれば、新規感染者の7日間平均が東京五輪終了後の8月11日時点で1日当たり約6129人になるとの試算が示された。国立国際医療研究センターの大曲貴夫・国際感染症センター長は「デルタ株への置きかわりが急速に進んでいる。これまで経験したことのない爆発的な感染拡大が進行している」「医療を適切に提供することが不可能な危機に直面」などと報告した。

さらに7日間平均の8月18日時点の予測値は約1万909人になるとした。大曲氏は「都民の1000人に1人が毎日感染する計算になる。この危機感を現実のものとしてみんなで共有する必要がある」と警鐘を鳴らした。都医師会の猪口正孝副会長は「医療提供体制はひっ迫している。緊急時の体制に移行する必要がある」などと指摘した。

会議ではまた、65歳以上感染者について「これまで比較的抑えられていた高齢者の感染が、再び増加し始めている」との報告もあった。

都は緊急時の医療提供体制について検討。中等症を入院とする基準は続ける方針を示した。症状が改善した場合はすみやかに転院させたり、自宅療養に切り替えたりして病床をあける努力をしていくという。猪口氏や小池百合子知事は、入院重点医療機関の役割の明確化と、保健所、宿泊療養、自宅療養を含めた連携の強化を強調。「重症、中等症を受け入れる医療機関では、より手厚いケアが必要な患者のための医療提供。軽症、中等症を受け入れる医療機関では高齢者など自宅や宿泊療養が困難な患者をはじめ、入院が必要な患者を対象にする。自宅療養のフォローアップ体制の拡充など、医療資源を最大限活用し、医療提供体制の充実を図っていく」などと説明した。

会議後の会見で政府の入院制限方針について問われた猪口氏は「国は入院は重症者、リスクの高い方という話だったが、リスクが高いというところにかなり広い意味があると思っている。中等症は呼吸が苦しい状況。その方を目の前にして入院させないのはありえない。医療機関にきた時点において全身状態をみながら、いろんな検査をして判断していこうと思っている。一定の基準によって考えるものではなくて、全身的な診断によって入院を決めていくことになる」とした。

小池氏は現状について「非常に厳しい」とし、「政府の入院制限は、都から国に要望したのか」と問われると「お互いに連携しながら進めている。現場の状況を知らせなければ、国も整理ができにくい」などと答えた。また「これ以上の感染拡大を防ぐには、結局のところ1人1人の行動が重要。お盆を控えているが、旅行、帰省は中止、延期をお願いします。ステイホームを徹底してください」などと呼び掛けていた。