東京オリンピック(五輪)体操女子個人総合で金メダルを獲得した米国のスニサ・リー(18)が、ロサンゼルスで催涙スプレーをかけられるなど、アジア系を標的とするとみられる人種差別被害を受けたことを明かした。

東南アジアの少数民族モン族系米国人として五輪初出場を果たし、金メダルを獲得して一躍注目を集めたリーは、ポップカルチャー情報サイト、ポップシュガーのインタビューで、友人と共に配車サービスの車を待っていたところ、通りすがりの車の中から暴言を浴びせられ、腕に催涙スプレーもかけられたと告白した。

「もといた場所に帰れ」とすれ違いざまに怒鳴られたというリーは、「すごく腹が立ったけど、相手が逃げてしまったので私にできることは何もなかった」とコメント。「自分は有名人なので、トラブルに巻き込まれるようなことはしたくなかったので、とても辛かった。ただそのままにするしかなかった」と悔しさをにじませた。

リーは現在、米ABCテレビで放送されているダンスバトル番組「ダンシング・ウィズ・ザ・スター」に出演中で知名度が急上昇しているが、暴言を浴びせた人物がリー自身を認識していたかどうかは不明。米国では、コロナ禍でアジア系への憎悪犯罪や人種差別が急増しており、東京五輪空手米国代表で日系の国米さくらも今年4月にロサンゼルス郊外で人種差別被害に遭ったことを告白している。(ロサンゼルス=千歳香奈子)