囲碁に史上最年少9歳のプロ棋士が誕生する。関西棋院は17日、大阪の小学3年生の藤田怜央(れお)くんが、9月1日付で史上最年少の9歳4カ月で初段になると発表した。19年に10歳0カ月でプロになった仲邑菫(すみれ)二段(13)の国内最年少記録を3年5カ月ぶりに更新する。関西棋院によると、9歳4カ月での入段は世界最年少となり、世界史上最年少のプロが誕生する。

才能ある子を早くから育成するため、関西棋院が今年4月に新設した「英才特別採用」の規定をクリアし、採用された。

理学療法士の父、陽彦(はるひこ)さん(41)と大阪市内で会見した怜央くんは、今後の目標に第一人者の井山裕太4冠(33)を挙げ、「がんばります」と緊張気味に話した。プロ入りが決まったことに「うれしいです」と喜んだ。

囲碁を始めたきっかけはオセロだった。4歳6カ月ぐらいからオセロに興味を持ち、夢中になった。陽彦さんがオセロ教室を探したが、見つからず、見た目がオセロと似ていると、4歳10カ月のとき、陽彦さんの会社の近くにある囲碁サロンに連れていった。入門10カ月、幼稚園年中の5歳のときにはアマ初段になった。

小学1年で日本棋院関西総本部の院生(プロ候補生)になり、小学2年のころからプロ棋士と互先(たがいせん)で度々、勝つようになった。

怜央くんは、今回、関西棋院の村川大介九段ら賞金ランキングトップ10の棋士から棋譜に基づく審査を受け、合格した。試験碁の対戦相手を務めた瀬戸大樹八段は「9歳でこれだけ打てるのは驚きでした。これまで見たことのない才能でした」と話し、「9歳の年齢ながら、大人っぽいバランスのとれた碁でした。これから長所を伸ばしてほしい」と期待を寄せた。

仲邑は10歳0カ月でプロになり、7月には史上最年少でのタイトル獲得まで、あと1歩まで迫った。国内での主要な棋士では趙治勲名誉名人(66)が11歳9カ月で、井山は12歳10カ月でプロ棋士となった。将棋は四段以上がプロで制度が異なるが、最年少記録は藤井聡太5冠(20)の14歳2カ月。

関西棋院の調べでは、これまでの世界の最年少は中国の常昊(じょう・こう)九段(45)、韓国の■(■は十の下に日を二つ縦に並べ、十の縦棒が一つ目の日を貫く)薫鉉(そう・くんげん)九段(69)の9歳7カ月。2人とも世界チャンピオンになっている。

囲碁には日本棋院、関西棋院がある。

※■は十の下に日を二つ縦に並べ、十の縦棒が一つ目の日を貫く

 

◆藤田怜央(ふじた・れお)2013年(平25)4月25日、大阪市生まれ。1歳半のころ、大阪の地下鉄の駅を順番にそらんじ、大人をびっくりさせる。4歳で囲碁を始め、大阪市内の碁会所に週6回、通うようになる。入門10カ月でアマ初段。6歳のとき、「こども囲碁フェスティバル 王座戦」で準優勝。小学1年まで週6回、碁会所に通い、大阪こども囲碁道場にも通うようになった。師匠は星川拓海五段。好きな棋士は井山裕太4冠、余正麒八段。好きな食べ物はすし、焼き肉。好きなスポーツは卓球、サッカー。好きなテレビ番組は「世界の果てまでイッテQ!」。目標は世界一、7冠。家族は両親と兄。身長130センチ。