藤井聡太竜王(王位・叡王・王将・棋聖=20)が渡辺明棋王(名人=38)に挑戦する、将棋の第48期棋王戦コナミグループ杯5番勝負第4局が19日、栃木県日光市「日光きぬ川ホテル三日月」で行われ、後手の藤井が132手で勝利し、シリーズ対戦成績3勝1敗で初の棋王獲得と史上最年少6冠を達成した。20歳8カ月の6冠は最年少で羽生善治九段(52)に続き2人目。終局後、同ホテルで記者会見した。

主な一問一答は以下の通り

-史上2人目、最年少6冠の率直な感想は

藤井 対局が終わったばかりで、獲得できた実感があるわけでないのですが。棋王戦では前期では良い成績が残せなかった。今期、5番勝負まで進むことができた。たいへんな将棋ばかりだったが、結果を残すことができてうれしく思っています。

-シリーズを振り返って

藤井 シリーズ通し、角換わりの定跡系。序盤から中盤にかけてテンポよく進んだ。中終盤はどれも非常に難しく、適切に判断できなかった局面も多かった。難しい局面をいろいろ考えることができ、収穫が多かった。

-全8冠制覇の思いは 

藤井 直接、そこを目指す意識はありません。実力が足りない部分が多いので、引き続き実力を高めていきたい。

-第3局は悔しい敗局となった。第4局は第3局を踏まえて、指し手はより慎重になった

藤井 第3局は中盤から自玉が不安定な形になり、まとめることが難しくなった。本局は自玉の安全のバランスを取りながらと思っていた。途中、攻め合いにいくタイミングをいくつか逃してしまったところもあった。バランスの調整が必要かなと思っている。

-対局規定が緩和され、マスクを外しての対局だった

藤井 いままでの違いは一概には言えないが、集中して臨むことができた。

-タイトル通算13期となり、通算タイトル数は森内俊之九段(52)を抜いた 

藤井 森内九段は、将棋を始めたころから活躍されていた目標とする方の1人だった。タイトル数だけでは比較できることではないが、1つ1つ積み上げてくることができてよかったと思う。

-最近のタイトル戦では、持ち時間を残して勝つケースが多くなった。タイムマネジメントの意識が変わった

藤井 以前は、残り時間よりも局面のほうが重要なので、判断が難しい局面であれば、時間が使って納得いくまで考えたいという意識がある。早い段階で使いすぎてしまうと、一局を通して考えることが難しくなってしまうことがあるかなとも思う。

-早指し棋戦のNHK杯を制し、一般棋戦4冠。持ち時間の長いタイトル戦でも早指し棋戦でもスキがないように見える。以前から言われている「実力的に少し足りない部分」とは

藤井 早指し棋戦では結果が出せていなかった。今期はいままでよりも決断よく指そうと意識した。よい結果を出せてうれしく思っている。最近、中盤以降に難解な局面を迎えることが多く、うまく判断できない局面が増えている印象がある。複雑な局面に対して的確に判断できる力がいっそう必要になるのかなと思っています。

-今シリーズは鉄道を乗り継いで、対局会場に来ることが多かった。タイトル初獲得を名古屋駅とし、新幹線で終点の東京駅に向かっているとしたら、どの付近を通過中ですか

藤井 東京が終点ですか? タイトルは増やすことができているが、内容的にはたいへんなところ多いので、近づいているという感覚はないです。どのくらい?(笑い) う~ん、じゃあ、静岡ぐらいでお願いします。