東京・神宮外苑再開発事業をめぐり、秩父宮ラグビー場の建て替えに反対しているラグビー元日本代表の平尾剛氏が28日、東京都の小池百合子知事に、再開発計画の見直しを求める要望書を提出した。

再開発に反対し、平尾氏らとともに活動を続けている米実業家ロシェル・カップさんが自身のツイッターで明かした。平尾氏も、オンライン署名サイト「Change org」の中で、要望書を公開した。

平尾氏は「『ラグビーの聖地』である秩父宮ラグビー場を守ってください 移転・新築ではなく、リノベーションによる継続使用を求めます」と、建て替えではなく改修での継続使用を要望。「大勢の人々の意見を無視した神宮外苑再開発はいったん立ち止まって考え直すべきです。市民参加型の社会のありようを求め、東京都に対して3月28日に要望書を提出いたしました」と、している。

要望書では「この計画はラグビーファンの期待を裏切るものであり、神宮外苑の象徴ともいえるイチョウ並木を危機に陥れるなど、周囲の環境を破壊しかねないとの懸念が、都民やファン、関係者のあいだで広がっています」と表明。新競技場の屋根が開閉されないことや人工芝のグラウンドになること、観客席数の4割削減などの問題点を挙げて指摘。再開発事業によって多くの樹木が伐採されることや、名所のイチョウ並木にも影響が及ぶことにも触れ「環境破壊を伴う競技場の新設はスポーツ界の潮流からもずれています」とも訴えた。

計画全体像について、事前に都民に詳細な説明が行われなかったことにも疑問を呈し「(計画が)強行されてしまうことになれば、計画を承認した小池都知事が『伝統ある秩父宮ラグビー球場を破壊した都知事』として皆の記憶に残ります」と強い調子で記し、事業者に工事の施工を認可した東京都のトップ小池氏に、認可の取り消しを求めた。 平尾氏は今年1月、秩父宮ラグビー場移転反対の署名を立ち上げ、これまで1万6000人を超える賛同が集まっている。3月3日には、計画の見直しを求める超党派国会議員連盟の会合にも出席し「どこから考えても考えられない再開発計画だ」などと批判していた。再開発では、すでに神宮第二球場の解体工事が始まっている。【中山知子】