将棋の最年少6冠、藤井聡太叡王(竜王・王位・棋王・王将・棋聖=20)が菅井竜也八段(31)の挑戦を受ける、第8期叡王戦5番勝負第2局が23日、愛知県名古屋市の「名古屋東急ホテル」で行われ、先手の菅井が115手で勝ち、対戦成績を1勝1敗のタイとした。第3局は5月6日、名古屋市の「か茂免」で行われる。

本紙「ひふみんアイ」でおなじみ、加藤一二三・九段(83)が対局を振り返ります。

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藤井叡王は時間の使いすぎです。リードを許した上に、持ち時間でも70手目で「1分将棋」(この時点で菅井八段は持ち時間4時間のうち、残り65分)ですから、史上最年少6冠といえども苦しいでしょう。後手3一金と穴熊を締めず、4一金形であえて勝負しましたが、後手8六歩(42手目)と仕掛けたタイミングが良くなかったと思います。第1局同様、「タイムマネジメント」は今後の課題です。

対する菅井八段の穴熊攻略はお見事でした。82手目の後手9八歩成に対し、「これ幸い」とばかりに先手4九飛と9九から回り、反撃のチャンスを待って先手4八香(95手目)と打った「ロケット」が効きました。一般に穴熊は堅陣とされてますが、急所を攻めればあっという間に陥落することを証明しました。

これで叡王戦は面白くなってきました。次は菅井八段の四間飛車を見たいですね。後手5二金左型から柔軟性のある美濃囲いにすれば、十分戦えます。先手番の藤井叡王は乱戦に持ち込むか、じっくり構えるか。目が離せません。(加藤一二三・九段)