将棋の最年少7冠、藤井聡太王位(竜王・名人・叡王・棋王・王将・棋聖=20)が佐々木大地七段(28)の挑戦を受ける、「伊藤園お~いお茶杯第64期王位戦7番勝負第1局」が7、8の両日、愛知県の豊田市能楽堂で行われ、先手の藤井が先勝した。藤井は王位4連覇、佐々木は初タイトル獲得を目指す。第2局は13、14日に有馬温泉(神戸市北区)の老舗旅館「中の坊瑞苑(ずいえん)」で行われる。

本紙「ひふみんアイ」でおなじみ、加藤一二三・九段(83)が対局を振り返ります。

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藤井王位の勝利の原動力は、飛車を2筋から8筋の最下段に展開させたことでしょう。受けの手ですが、後手の攻めを利用して反撃した頭脳プレーです。これをベースに、争点となった7~8筋でもうまく対応しました。佐々木七段の飛車は働かなくなってしまい、最終的に「と金」で取られてしまいました。単純にこの比較で「勝負あった」とみていいでしょう。

対局は、後手番の佐々木七段にエース戦法の角換わりを封じられました。「横歩取り」という変化球が来ましたが、角交換の後にすかさず6筋に角を打ち、終盤まで機能していました。飛車と角、大駒2枚の存在感の差が大きかったです。欠点が見当たらず、将棋の巧みな藤井王位の完勝だったと思います。

プランを持って、作戦を練ってきている佐々木七段ですが、本局を見る限り「勝つまでは難しい」と感じました。やはり、タイトル獲得経験者といったトップ棋士とのつばぜり合いを演じていないという経験の差が、まだあるようです。ひと工夫する必要があります。(加藤一二三・九段)

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