自民党は8日、党本部で両院議員総会を開き、「石破おろし」勢力から総裁選実施前倒しを求める声が相次いだ。これを受け、執行部は、総裁選管理委員会に前倒し開催の是非を判断する党内手続きを一任することを決めた。退陣支持派は色めき立つが、実際に行われるかはまだ不透明。石破首相は総会で、あらためて続投に強い意欲を示した。自民党史上例のない「総裁選前倒し」に進むのか、自民党内の混乱や分断は深刻化する一方だ。
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4時間半にわたった7月28日の両院議員懇談会以上の大紛糾も予想された、この日の両院議員総会。予定された2時間ちょっとで、あっさり終了した。出席者によると、石破首相の総裁任期前倒しを求める声が続出。これを受け執行部は、総裁選前倒しの是非を決める党内手続きを総裁選管理委員会に一任し、判断をあおぐことを決めた
党則上は、党所属国会議員と都道府県連代表者の過半数が求めるという条件を満たせば、総裁任期満了前でも、総裁選の前倒し実施が可能だ。これまで「石破おろし」を叫んできた議員たちは、「1歩前に進んだ」「総裁選への流れができた」と、新展開に色めき立った。一方、参院選大敗は裏金事件の影響が大きいと主張する鈴木宗男参院議員は「総裁選の前に参院選の総括を踏まえた上で、次のステージに向かうべきだ。裏金議員のけじめがなっていない。私は総裁選をやる必要はないと思う」と、主張した。
対応を一任された総裁選管理委員会の逢沢一郎委員長は「自民党の歴史の中にこういう経験はなく、きちんとした仕組みを作ることが必要」と述べた。8月末をめどに出される参院選総括を考慮しながらタイミングを考える意向も示した。
「リコール規定」は党則に存在するものの、自分たちが選んだ総裁を自分たちで引きずりおろすことになり、過去に適用されたケースはない。逢沢氏によると、総裁選管理委員会の11人の委員のうち6人が欠員状態で、まずは委員会の体裁を整える作業が必要。お盆休みを挟んで早くても18日以降の作業になり一定の時間がかかるとみられ、「執行部は時間稼ぎをするのでは」と警戒する声もある。
党内には「みっともない。自ら身を引くのが筋」(若手議員)との指摘もあるが、石破首相は総会で「引き続き日本国に責任を持ちたい」とあらためて続投宣言。総会後の取材にも、「米国との関税交渉に道筋をつける」と述べた。総裁選の前倒しを求める党内の動きについては、「党則にのっとって、きちんと運営するということに尽きる」と述べるにとどめた。
首相本人が続投方針を明言する中でも強まる「石破おろし」。自民党は、前代未聞の総裁リコールの可能性も秘めた、未知の領域に突入しつつある。【中山知子】
◆総裁選前倒し(リコール) 自民党党則の第2章第6条4項に「総裁の任期満了前に、党所属の国会議員及び都道府県支部連合会代表各一名の総数の過半数の要求があったときは、総裁が任期中に欠けた場合の総裁を公選する選挙の例により、総裁の選挙を行う」とある。いわゆる「総裁リコール規定」と呼ばれ、超低支持率だった森喜朗氏の自民党総裁交代がなかなか実現しなかった経緯から2002年に党則に加えられたもの。ただ、実際に適用された例は過去にない。

