将棋の名人獲得経験者で、「ひふみん」の愛称で親しまれていた加藤一二三(かとう・ひふみ)さんが22日(木)午前3時15分、都内の病院で、肺炎のため亡くなった。86歳だった。同日、所属事務所が発表した。
加藤さんは藤井聡太6冠(竜王・名人・王位・棋聖・棋王・王将=23)のデビュー戦の相手として知られる。16年12月24日、当時現役最年長の76歳だった九段の加藤さんは史上最年少の14歳2カ月でプロ棋士(四段)となった藤井と激突。62歳の最多年齢対決だった。
加藤さんは学生服姿の藤井相手に食事休憩を含め10時間43分に及ぶ大熱戦の末、110手で敗れた。藤井四段誕生まで、14歳7カ月の最年少記録を保持していた加藤さんは対局後「うまく負かされた。大局観が素晴らしい」と絶賛していた。
その後、藤井はデビュー戦から公式戦29連勝をマークした。
加藤さんの家族によると、加藤さんは24年正月すぎあたりから体調を崩し、入退院を繰り返していた。同年11月の詰め将棋掲載連続回数のギネス認定式、25年5月の棋王戦50周年記念祝賀会に出席した際には車いす姿だった。
加藤さんは1940年(昭15)、福岡県生まれ。54年8月、14歳7カ月で初の中学生棋士としてデビューした。この最年少記録は、16年10月、14歳2カ月でデビューした藤井聡太(肩書)に更新されるまで、62年間破られなかった。
棋士生活63年で通算1324勝1180敗。戦前生まれの名人経験者として最後の存命者であり、50年代から00年代まで、各年代で唯一A級に在籍した棋士でもある。

