23年3月28日に71歳で亡くなった音楽家の坂本龍一さんが、11年3月の東日本大震災で被災した東北の復興支援を目的に13年に立ち上げ、音楽監督を務めた「東北ユースオーケストラ」が26日、東京・サントリーホールで演奏会を開いた。今回は、16年から前回の25年まで朗読で参加してきた吉永小百合(81)が、都合が付かず不参加となり、吉永から指名を受けた、のん(32)が平和を願う朗読を行った。のんは演奏会後、囲み取材に応じ「チョコレートを届けてくださって、その中にお手紙が入っていて、メッセージをくださいました」と、吉永から“贈り物”があったことを明かした。
東北ユースオーケストラは、東日本大震災で被災した岩手、宮城、福島の小学生から大学生までを集めた楽団。被災地の学校の、楽器の点検、修理のプロジェクトがきっかけで、13年に宮城県松島町で開かれた音楽祭「Lucerne Festival ARK NOVA 松島2013」で、坂本さんが音楽家の大友良英氏と共演したことで企画。翌14年には、坂本さんが社団法人化して音楽監督に就任も、同年7月に中咽頭がんを公表して活動を休止。翌15年に団員を公募し、集まった105人が練習を続け16年3月に都内で第1回演奏会を開いた。
のんは、18年に「東北ユースオーケストラ」に朗読で参加し、今回が6回目となった。岩手・盛岡や福島・郡山の演奏会で朗読し、東京の演奏会にも2回、出演。東京での演奏会で出演しなかった際は、一観客として会場に足を運んだこともある。この日は、坂本さんの楽曲「Kizuna Wold」「Still Life」「Aqua」が流れる中、ヘルマン・ヘッセの「白い雲」、福島の詩人・和合亮一氏の「風に」、安里有生さんの「へいわってすてきだね」を朗読した。
吉永とは、25年の吉永の主演映画「てっぺんの向こうにあなたがいる」(阪本順治監督)で、吉永が演じた登山家・田部井淳子さんを元にした主人公・多部純子の青年期を演じるなど、深い縁がある。この日の朗読は、力の入れ方、息の付き方、間の取り方など、吉永をほうふつとさせるような力のこもった、それでいて深い慈愛を感じさせる、伸びやかな朗読だった。
囲み取材で、吉永の朗読を意識したか、吉永の思いを背負って、どういう思いで朗読したか? と質問が出た。のんは「毎回、吉永さんが詩を選んで、坂本さんと話し合って決めていらっしゃった。今回は吉永さんが選んだ詩を、読ませていただいた」と朗読した詩3篇は、吉永のチョイスだったと明かした。
その上で、25年3月21日に同所で開催された前回の東京演奏会を一観客として鑑賞した際、吉永の朗読が「すごく衝撃的で」と、大きな影響を受けたと明かした。吉永は25年の演奏会で、ロシアのウクライナ侵攻翌月の22年3月に坂本さんと楽曲「Piece for lllia」を共同制作したウクライナのバイオリニスト・イリア・ボンダレンコ(24)と共演した。のんは「吉永さんは、すごく平和を大切にしていらっしゃる。吉永さんの朗読が心に残っていて…あの時の感覚を大事に、朗読したいなと思っていて、吉永さんの朗読をイメージしました」と、1年前の吉永の朗読を思い浮かべ、自らに重ねながら朗読したと明かした。

