ヴェラアズールの勝因は前半の走りにある。松山騎手はスタートをゆっくり出すと、後方で折り合いに専念した。最近でこそマシになったが、気を許せば掛かってしまう気性。この日もスタンド前は少し力むような面を見せていた。1、2コーナーで後方馬群が固まるとアイアンバローズの後ろへ。前を壁にしてリラックスできたのが大きい。

3コーナー手前でマイネルファンロンにまくられた時も、一緒には上がっていかずポジションを1つ下げても我慢させた。開幕週の馬場。前が止まらない競馬が多い中でも焦らず、この馬の良さである末脚に懸ける乗り方をした。うまかったのはマイネルファンロンを完全に前へ出すのではなく、半馬身くらいでついていったことだ。

前へ入られたら1列後ろへ下がると同時に、4コーナーでは大外へ振られる。内をキープしたことで、少しでもロスを減らすことができた。前半でしっかり脚がたまり、上がりはメンバー最速33秒2の脚。体質強化によって、芝の長距離で結果を出してきたヴェラアズールだが、今日のような競馬ができればG1の大舞台も見えてくる。