<アルゼンチン共和国杯>

ゼッフィーロのモレイラ騎手は、まったく無駄がなかった。スタートから手綱をがっちり抑えて折り合いを付けると、徐々に内へ寄せていく。2コーナーではラチ沿いを走るヒュミドールの後ろ。無理にポジションを取りにいくわけではなく、馬の気に任せて中団馬群でしっかり脚をためた。

3コーナーで外の各馬が上がって行き、後方3、4頭目まで下がっても、むやみには動かない。距離ロスのないように内を回って直線へ。前にはズラッと壁が並び、抜け出すスペースもなかったが、進路を変えるのではなく、開くまで仕掛けを待った。スパートのタイミングとしてはやや遅れたが、じっと手をこまねいていたわけではない。

前がさばければ、はじける準備はできている。そこがすごい。経済コースを通り、余計な力は使わない。馬にストレスをかけずに2100メートルまで持ってきたことが一番の勝因だ。残り400メートルで逃げたアフリカンゴールド、外アリストテレスの間が開くと、瞬時に反応して抜け出した。

上がりはメンバー最速の34秒2。最後はコンマ2秒差に4頭がひしめく接戦となっただけに、少しのミスや迷いがあったら勝ち切れなかった。無駄なく、いいリズムで走らせたことがゼッフィーロの重賞初制覇につながった。

ゼッフィーロでアルゼンチン共和国杯を制してファンの声援に応えるモレイラ騎手(撮影・丹羽敏通)
ゼッフィーロでアルゼンチン共和国杯を制してファンの声援に応えるモレイラ騎手(撮影・丹羽敏通)