ブレイディヴェーグのルメール騎手は“お手馬”をマークして鮮やかに抜け出した。ゲートは伸び上がる感じで内にもたれ、あまりいい飛び出しではなかったが、ローズSのように控えず積極的にポジションを取りにいった。スタンド前で内からルージュエヴァイユをかわし、1コーナーでは5番手。「絶好」の位置で流れに乗った。

ハーパーの後ろにつけ1角を進むブレイディヴェーグとルメール騎手
ハーパーの後ろにつけ1角を進むブレイディヴェーグとルメール騎手

すぐ前を走るハーパーは桜花賞、オークス、秋華賞でコンビを組み、能力の高さや馬の癖、性格なども熟知している。この馬の後ろならバテて下がってくる心配がなく、いたずらに進路を探す必要はない。馬群の中でも後ろでジッとしていれば道は開く。目標にするには願ってもない馬だ。

この乗り方は枠順が確定した時からプランの1つに入っていたのだろう。枠も近いし(ハーパーの)出方を見ながら。それを実行するスタンド前の動きで「絶好位」を手に入れた。その後はしばらく馬混みで脚をため、仕掛けのタイミングを待った。無駄な動きがない分、いつもより前の位置でも体力は温存できた。

直線抜け出すブレイディヴェーグ(左)
直線抜け出すブレイディヴェーグ(左)

直線は外へ出したハーパーの内を狙ってスパート。初の2200メートルや先行策を取ったことで前走ほどは切れなかったが、それでもたたき合いを制することができたのは、ルメール騎手の巧みなレース運びがあったからだ。

直線鋭く伸びて史上最少キャリアでエリザベス女王杯を制したブレイディヴェーグ(撮影・白石智彦)
直線鋭く伸びて史上最少キャリアでエリザベス女王杯を制したブレイディヴェーグ(撮影・白石智彦)