エフフォーリア、ヴェラアズール、デアリングタクトなど、名だたるG1馬に出資してきたKAZFORIA氏が、出資馬を選択する上での着眼点を解説します。(毎週火曜日、木曜日更新予定)

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募集馬自体の能力評価を終えた後で、もう1つ重要視しているのが、育成牧場と厩舎である。これは大抵カタログの上部に記載があるし、決まり次第ホームページで発表される場合もある。

1歳春から秋時点での募集馬は、まだ原石だと考えている。「ダイヤの原石」も磨き方、すなわち育成での鍛え方が悪ければ、泥のついた原石のままで終わってしまうし、最悪ダイヤに傷をつけて終わってしまう場合もある。それだけに、未完成の馬を上手に成長させながらレースで勝てるように心身両面を鍛えあげていく育成牧場の役割は非常に大きい。

私は主に以下3つの能力から、育成牧場の優劣を評価している。

(1)未完成の馬体を、正しく成長させ鍛錬する能力。(2)競馬のレースに向けて、きちんと仕上げていける能力。(3)仕上がり次第、速やかに入厩させる能力。

結論から言うと、この3つの能力に関しては、一般的にノーザンファームが群を抜いて突出していると言わざるを得ない。坂路など調教施設の良さに加え、マンパワーのレベルの高さ、個人馬主とさほど変わりなく一口馬主の方を向いてくれる姿勢など、現状では他の追随を許さないものがあり、現実にもG1馬の数多くがノーザンファーム育成馬である。逆に馬体を正しく鍛錬できず募集時から悪化させてしまう牧場や、仕上げきっていないのに送り出してしまう牧場、瞬発力の育成が難しい牧場はマイナス評価である。

あと、クラブや厩舎の体質にもよるのだろうが、十分に仕上がっているのに満口を待っているのか延々と入厩させない牧場、一口の馬より個人馬主の馬を優先させてなかなか入厩させない牧場も、旬を逃してしまうので良くない。

また、厩舎については、今は10日競馬と言ってレース前の10日間しか厩舎にいない例もあり、厩舎よりも育成牧場の比重が非常に大きくなっている。そこで育成力の高いノーザンファーム育成馬なら厩舎はあまり気にしないが、それ以外の牧場で厩舎レベルも低い馬は、育成面でのリスクが大きい。

後は実際に出資してみて自分の目で確かめ、経験値として蓄積するのが1番確実だと思う。