「リハビリを始めて、体が(思うように)動かないなと思った瞬間に辞めようと思いました。何もやりたくないというか…」。そう振り返ったのは8日の大井2Rで復帰初戦を勝利した大木天翔騎手(22)。昨年7月2日の落馬で腰に大けがを負い、それ以前に傷めた右膝も悪化。心も折れてしまい、引退まで考えたという。だが「先生(所属の三坂師)と相談して、話を聞いて、一度やってみますと。先生の引退も近いので恩返しができたらなという気持ちでやっています」と復帰を決意した。

翌日、その話を三坂盛雄師(71)に伝えた。「泣けちゃうよ」とうれしそうな師匠。聞けば「精神的に弱い面があるから、自分が納得するまでは乗らなくていいと言ったんです。昨日、勝てたからよかった。本当によかった。一度(心が)折れてるから、立て直すのは大変だと思う。だから無理しないで、のんびりやればいい、徐々に乗っていけばいいんだからと」と焦らせなかったという。

それを受けて「ゆっくりやろうと思います」と大木騎手。今日は1鞍、8Rに騎乗予定だ。【牛山基康】