今回の「ケイバラプソディ~ 楽しい競馬」は、8月から中央競馬担当となった東京の服部航大記者(24)が初登場。大学まで陸上競技を続けた経験から、興味をひかれる障害レースについて、25年最優秀障害馬エコロデュエル(牡7)を管理する岩戸孝樹調教師(60)と、同馬の主戦草野太郎騎手(37)に取材した。
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競馬場を訪れる度、障害レースに見入ってしまう。障害に向かって加速し、美しい放物線を描き着地する。その中で徐々にスタミナは削られ、最後の直線で力を振り絞る。それを見て拳を握るのは、自分も障害を乗り越えてきたことも関係するだろう。
小学3年生から大学卒業まで陸上競技に取り組み、専門種目は3000メートル障害。400メートルトラックを7周半しながら固定障害を28度、水濠を7度越える過酷な競技だ。1秒でも早く走り抜くために24時間を費やしていた自分を障害馬に重ねてしまうが、そこは馬と人間。違いはきっとあるだろうと取材に向かった。
「一番大事なのはやっぱり飛越。うまくなければ話にならないですね」と岩戸師は教えてくれた。人間と馬では飛越を覚えるまでにかかる時間はもちろん段違い。岩戸厩舎の場合、トレセンではなく、時間の制約が無い牧場で基礎をたたき込む。人を乗せない自由飛越から始め、1カ月ほど障害試験まで時間をかけるという。
飛越には身のこなしや体の柔らかさなども関わるが、草野騎手によれば「障害試験を受けられるようになる、という点では特別な才能は必要ない」という。それでも、平地の走力だけがものをいうわけではない。「重賞級の馬は障害に完歩が合わない時に減速せず、トモをぐっと踏み込んでくれる。重賞を勝つにはそういったパワーや気持ちの強さは必要になりますね」。
岩戸師も「ちょっと我が強く、気が強い子の方が上に行くんですよ」と同意見だ。「緩やかなペースの中でもちゃんと飛越して、最後はしっかり頑張らないといけない。そういう意味でオンオフもしっかりしていないといけないし、平地の未勝利馬がOP馬に勝ったりするのはそういう気持ちの差だと思う」。
2人が共通して挙げた「気持ちの強さ」には思い当たるところがあった。大学2回生の春、障害で転倒して右足首の靱帯(じんたい)を2本断裂した。回復して出場した次走は障害が怖くて仕方がなかったが、腹をくくって加速し飛越。吹っ切れたことで自己ベストを出せた。そのため、私にとってこの種目は、障害を恐れずに立ち向かうことが最も大事に思えている。
取材してさらに感情移入できた。来週末の18日には東京ハイジャンプ(J・G2、芝3110メートル)が行われる。障害を前にぐっと踏み込む馬を見て「いけ!」と叫んでいるかもしれない。【服部航大】(ニッカンスポーツ・コム/競馬コラム「ケイバ・ラプソディー~楽しい競馬~」)
◆服部航大(はっとり・こうだい)2002年(平14)6月27日生まれ、大阪府吹田市出身。京大を卒業後、2026年4月に入社。8月から中央競馬担当。小学3年生から大学まで陸上競技中長距離に取り組み、3000メートル障害の自己ベストは10分10秒9。競馬は陸上競技に大きく似ているところが魅力。好きな馬は小学生の頃に活躍していたオルフェーヴル。






