10月1日に行われるG1凱旋門賞まであと1カ月となりました。4日にあるG1バーデン大賞、本番3週前にパリロンシャン競馬場で行われる3つの前哨戦、G1ヴェルメイユ賞、G2フォワ賞、G2ニエル賞、それに同時期に開催されるG1愛チャンピオンSやG1英セントレジャーの結果いかんによって人気は変化するでしょうが、まずは現在、人気を集めている馬のレーティング(英国タイムファームによるタイムフォームレーティング)を確認しておきたいと思います。

昨年優勝したトルカータータッソーのこの時期のレーティングは123。混戦になっても、このあたりがボーダーラインになるものとみられます。

注目は何といっても参戦に前向きになっている最強マイル王バーイードでしょう。出否の最終決定は当日の馬場状態次第となりそうですが、出走に踏み切れば大きな目玉となる馬。タイムファームは137をつけて最高の評価。「あらゆる距離に対応する今世紀の欧州最強馬」と手放しの大絶賛です。同時期にレーティング140を獲得したフランケルは、その激しすぎる気性が故に2400メートル戦は使われませんでしたが、バーイードは折り合いがついて騎手のコントロールが利くタイプ。関係者が抱いているイメージは、脚をためて凱旋門賞を差し切ったダンシングブレーヴに近いのかもしれません。

日本の4頭の中でもっとも高いレーティング130のタイトルホルダーはステイヤーとしての資質が高く評価されているようです。理想はペースメーカーを前に見て、早めに先頭に立って突き放す競馬でしょうか。ステイフーリッシュあたりが単騎でペースを作ってくれればチャンスはさらに膨らみそうです。

昨年、あっと言わせたトルカータータッソー(128)は4日のバーデン大賞に出走を予定しています。7月のG1キングジョージ6世&クイーンエリザベスSでは4番手追走から直線でじわじわ伸びて2着。良馬場で先に抜け出たパイルドライヴァーを捉えることはできませんでしたが、凱旋門賞馬らしさをのぞかせました。雨が降って馬場が悪くなればさらに存在感を増しそうです。

あれよあれよという間に芝2400メートルのG1を5連勝した牝馬のアルピニスタ(123=牝馬のアロウワンス+3で実質126)も侮れません。今年初戦のG1サンクルー大賞は、本命馬ハリケーンレーンの自滅による勝利で「敵失」の感もありましたが、前走のG1ヨークシャーオークスは英オークス馬のチューズデーや、G1プリティポリーSを制したラプティットココをねじ伏せて実力を見せつけました。昨年8月のG1ベルリン大賞ではトルカータータッソー(2着)を破っており、立ち回り次第で大仕事を成し遂げる可能性を秘めています。

地元の3歳代表となるヴァデニ(127)は2100メートルのG1仏ダービーと1990メートルのG1エクリプスSを連勝中。目標は10月15日のG1英チャンピオンSとされていますが、凱旋門賞に矛先を向けてくれば、要注意の1頭です。

パイルドライヴァー(126)は、G1キングジョージ6世&クイーンエリザベスSからぶっつけ挑戦。凱旋門賞以降はG1ブリーダーズカップターフ→G1ジャパンC→G1香港ヴァーズという青写真が描かれています。

ドゥデュース(121)は11日のG2ニエル賞の結果いかんによって立ち位置が大きく変わりです。昨年はまったく競馬になりませんでしたが、ディープボンド(124)のじわじわ来る脚は凱旋門賞向き。今年はぶっつけですが、コース経験もあり軽視は禁物です。ステイフーリッシュ(122)は欧州初戦となったG2ドーヴィル大賞が2着。ひとたたきされて上積みは確実でしょう。本番は一段とマークがきつくなりそうですが、先々で競馬を運べる利を生かして…。

<凱旋門賞有力馬のタイムファームレーティングと前売り人気>

バーイード 牡4 137 59・5キロ1・67~3・25倍(1番人気)

タイトルホルダー 牡4 130 59・5キロ 6・5~9・0倍(3番人気)

トルカータータッソー 牡5 128 59・5キロ 7・0~10・0倍(4番人気)

ヴァデニ 牡3 127  56・5キロ 8・5~19・0倍(5番人気)

アルピニスタ 牝5 123(+3) 58キロ 7・0~8・5倍(2番人気)

パイルドライヴァー 牡5 126 59・5キロ12・0~15・0倍(7番人気)

ディープボンド 牡5 124 59・5キロ 41・0~51・0倍

ステイフーリッシュ 牡7 122 59・5キロ34・0~67・0倍

ドゥデュース 牡3 121 56・5キロ 11・0~15・0倍(6番人気)

(ターフライター奥野庸介)

※競走成績は9月2日現在

ご時世でしょうか(笑い)
ご時世でしょうか(笑い)