英国競馬を締めくくるQIPCOチャンピオンズデーが21日(土曜)にアスコット競馬場で開催されます。

この日は長距離のG2チャンピオンズロングディスタンスC(芝3190メートル)を皮切りに、トップスプリンターがそろうG1チャンピオンズスプリントS(芝1200メートル)、牝馬限定のG1チャンピオンズフィリーズ&メアズS(芝2390メートル)、マイル王決定戦のG1クイーンエリザベス2世S(芝1600メートル)、そして欧州の中距離王を決めるG1英チャンピオンS(芝1990メートル)まで5つの重賞が行われます。それぞれのレースの見どころをお伝えしましょう。


◆ロングディスタンスカップ

昨年の欧州長距離チャンピオンに輝いたキプリオス(牡5、父ガリレオ)と一昨年のタイトルホルダーのトゥルーシャン(セ7、父プラントゥール)が激突します。キプリオスは長期休養明けとなった9月のG1愛セントレジャー2着からの参戦。対するトゥルーシャンは5月にのどの手術を受けて、今シーズンはここまで4戦2勝。前走、距離4000mのG1カドラン賞では主戦のホリー・ドイル騎手を背に2着に4馬身差をつけています。勝者が今年の長距離王になるものとみられています。


◆スプリントステークス

強力なライバルと見られていた3歳馬シャキールの回避によって、相手がぐんと楽になったキンロス(せん6、父キングマン)が、断然の1番人気に推されています。前走のG1フォレ賞は勝ったケリーナに半馬身差届かずの2着でしたが、昨年のこのレースを含めG1・2勝、今年も短距離重賞に2勝しているキンロスの実績は上位で、このメンバーではものが違うはずです。鞍上は来年、米国を拠点とするランフランコ・デットーリ騎手。昨年はG1ブリーダーズCマイルでも3着に善戦しましたが、果たして今年は。


◆フィリーズ&メアズステークス

凱旋門賞は13着に敗れましたが、重賞4勝の実力馬フリーウインド(牝5、父ガリレオ)と、前走のG1オペラ賞でブルーローズセンに首差2着したジャッキーオー(牝3、父ガリレオ)が人気を分け合っています。馬場状態が微妙ですが、もし悪くなるようなら、3走前に不良馬場を快勝したジャッキーオーに傾きます。前走のG3ドバイSで重賞初制覇を飾ったタイムロック(牝4、父フランケル)など3番手以下もさほど差はなく波乱の可能性も。


◆クイーンエリザベス2世ステークス

前走のG1英インターナショナルSの敗戦(3着)で、全欧年度代表馬争いからは1歩後退しましたが、今シーズン4つのG1勝ちを含む7戦6勝のパディントン(牡3、父シユーニ)が抜けた1番人気です。2番人気に昨年の2歳女王で今年は4戦してG1に3勝のタヒーラ(牝3、父シユーニ)、G1・3勝の実力馬ながら、中距離戦で3連敗しているナシュワ(牝4、父フランケル)は3番人気。7月に優勝したG1ファルマスS以来のマイル戦で巻き返しを図ります。

パディントンは自分でレースを組み立てられる自在型で、馬場は不問。カミソリタイプのタヒーラは乾いた馬場が理想、なたの切れ味を武器にするナシュワは雨の助けが欲しいところ。ここ3戦は強敵相手に2着を続けるフランス産のビッグロック(牡3、父ロックオブジブラルタル)も含め、この日で最もハイレベルのレース。人気上位3頭はいずれも11月4日(土曜)のG1ブリーダーズCマイルを視野に入れていて、見逃せない一戦になります。


◆英チャンピオンステークス

頭ひとつ抜けた人気は前走のG2ドラール賞まで4連勝中の上り馬ホライゾンドーレ(せん3、父ダビルシム)。“キングジョージ”でフクムの3着に健闘したキングオブスティール(牡3、父ウートンバセット)が2番人気。昨年、金星を挙げたベイブリッジ(牡5、父ニューベイ)、7月のG1プリティポリーSを制したヴィアシスティーナ(牝5、父ファストネットロック)、英インターナショナルSでパディントンを3着に退けたモスターダフ(牡5、父フランケル)までが争覇圏とみられています。

父を通じてハットトリックの血を譲り受けるホライゾンドーレは、ここが試金石の一戦になりそうですが、突き抜けて不思議ない実力の持ち主。3走前のG2キングエドワード7世Sで、G1ジャパンC参戦を表明したコンティニュアスを破っているキングオブスティールもデットーリ騎手で初G1に王手をかけています。シーズン後半になって徐々に調子を上げてきたくせ者ベイブリッジ、英フィリーズ&メアズSを捨てて、牡馬にぶつけてきたヴィアシスティーナも侮れません。

(ターフライター奥野庸介)

※競走成績などは23年10月19日現在

菊花賞の舞台。私の◎は12番!
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