1番人気レモンポップ(牡5、田中博)が好位から抜け出し、重賞初制覇を果たした。鞍上は戸崎圭太騎手(42)で勝ちタイムは1分22秒5。開業6年目の田中博康調教師(37)もうれしい重賞初制覇。フェブラリーS(G1、ダート1600メートル、2月19日=東京)への出否は現状未定だが、大きなところを狙える新たな砂の大物が誕生した。

2着にギルデッドミラー、3着にバトルクライが入り、連覇を狙ったテイエムサウスダンはまさかの14着に敗れた。

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レモンポップの横綱相撲だった。スタートの1歩目は遅かったが、二の脚で好位を奪った。直線は持ったまま先頭に立つと、後続馬が迫った残り300メートルでゴーサイン。「ホッとしてます。(手応えは)十分ありましたね。早めに(後続が)来られたので、早く脚を使ってしまったけど、よくしのいでくれたと思います」。単勝1・6倍の圧倒的な支持に応えた戸崎騎手は会心の笑みを浮かべた。

これで東京ダート1400メートルは5戦5勝。「言い訳ができないコース。具合も上がってきているし、結果が欲しい」と話していた田中博師は念願のタイトル獲得となった。「2着馬も強い馬なので、よくしのいでくれました」と馬をねぎらった。昨年、厩舎がマークした勝率1割6分3厘は中内田、木村、藤沢和雄(2月末まで)に次ぐ全国4位。開業6年目の若い厩舎だが、1戦1戦、勝ちにこだわる姿勢を貫いている。

戸崎騎手は「パワーもあるし、スピードもあるし、センスもあるし、申し分ない」と絶賛する一方、マイルの距離には「ギリギリなところはあると思う」と冷静な評価も伝えた。前哨戦を制したが、フェブラリーSに向かうのかどうかを決めるのはこれから。「馬の雰囲気を見て、状態を確認してから(フェブラリーSへの出否を)決めたい」と田中博師。3月末には日本馬の好走歴が多いドバイゴールデンシャヒーン(G1、ダート1200メートル、3月25日=メイダン)もある。新たに誕生した砂の大物と、若き敏腕トレーナーの采配に注目したい。【木南友輔】

◆レモンポップ ▽父 レモンドロップキッド▽ 母 アンリーチエイブル(ジャイアンツコーズウェイ)▽牡5▽馬主 ゴドルフィン▽調教師 田中博康(美浦)▽生産国 米国▽戦績 10戦7勝▽総取得賞金 1億6503万6000円▽馬名の由来 レモンスカッシュ