フランス人として、取らねばならないトロフィーがある。クリストフ・ルメール騎手(44)が自身13度目の凱旋門賞に挑む。

初めて乗った02年から21年がたった。「フランス人としては世界一名誉な賞ですので、いつも勝ちたいと思ってきましたし、勝たなければならないと思っています」。中でも06年は印象深い一戦だ。ディープインパクトが挑んだ年、自身はプライドに騎乗。直線は懸命に追いすがるも、レイルリンクに首差届かなかった。「残念でした。せっかく馬は良かったのに…、悔しい思い出です」と振り返る。

今年コンビを組むのはスルーセブンシーズ。デビュー戦、ミモザ賞、中山牝馬Sと、これまで3戦コンビを組んですべて勝利。相性抜群の相棒だ。「レースごとに強くなってきたと思います。宝塚記念でも絶対にイクイノックスの次に来るなと思っていたんです。だから2着に来ても全然驚きはしませんでした」。

父はドリームジャーニー、祖父はステイゴールドと、血統面でも心強い。ステイゴールドの産駒ではオルフェーヴル、ナカヤマフェスタが凱旋門賞で2着に走った。「この血統だから凱旋門賞に挑戦しようということにもなったんです。たぶんチャンスはあると思います。あとは晴れるといいですね。でもスルーセブンシーズは日本で雨が降っても強い馬。距離やコースも心配していません」。まだG1未勝利で人気はしないだろうが、好走する要素はそろっている。

1年半前に自身のブランド「CL by C・ルメール」を立ち上げ、忙しくも充実した毎日を送る。「仕事は増えましたが、得るものも大きかったです。ファンとの距離も縮まりました」。日本製の商品にはこだわりがある。「僕はいつも日本から恩恵を受けてきましたから。“オンガエシ”をしたい気持ちです」。

これまで日本馬は延べ33頭が凱旋門賞に挑んだが、2着4回。勝利に手が届きそうでなかなか届いていない。決戦の10月1日、母国で“日本馬”に乗って頂点を目指す。【平本果那】

■オールカマー制し「いい気分で」

ルメール騎手は渡仏前の24日、オールカマーをローシャムパークで制した。レース後は、凱旋門賞へ向けて「調子がいいし、いい気分で行けますね」と笑顔を見せた。スルーセブンシーズのライバルについては、今年の仏ダービーを制して5戦無敗のエースインパクト(牡3、JC・ルジェ)を挙げた。「仏ダービー、ドーヴィルでの前走(ギヨームドルナノ賞)も素晴らしかった」と話した。