誰もが認める世界最高のジョッキー、ランフランコ・デットーリ騎手(52)がいよいよ、最後の凱旋門賞(G1、芝2400メートル、10月1日=パリロンシャン)に挑む。

今年限りでの現役引退を発表しており、最後のパートナーを務めるのは、前走ヨークシャーオークス2着のフリーウインド(牝5、父ガリレオ)。管理するのは、エネイブルで凱旋門賞連覇を果たした盟友、ジョン・ゴスデン調教師だ。

アスコット競馬場の「マグニフィセントセブン(1日7戦7勝)」、凱旋門賞史上最多6勝(ラムタラ、サキー、マリエンバード、ゴールデンホーン、エネイブル)など、数々の伝説を築いてきたイタリア出身の名手。日本ではジャパンCをシングスピール、ファルブラヴ、アルカセットで3勝し、イーグルカフェでジャパンCダートも制した。

最後の騎乗馬フリーウインドは前走ヨークシャーオークスがG1が初挑戦のため、伏兵評価にとどまっているが、勝ってもおかしくないだけの存在だ。前走で頭差まで追い詰めたウォームハートは次走のヴェルメイユ賞を快勝。2馬身離した3着セーブザラストダンスは今年の英オークス2着、愛オークス制覇の実力馬だった。ヨークシャーオークスをステップにした馬は近年、エネイブル、シーオブクラス、昨年アルピニスタなどが好走している。

走破時計も強調できる。今年のヨークシャーオークスは良馬場で行われ、勝ちタイムが2分25秒86と速かった。前日に同じコース(ヨーク競馬場の12ハロン)で行われたのがグレートヴォルティジュールSで、コンティニュアスの勝ちタイムは2分27秒45。ヨークシャーオークスのフリーウインドは61キロを背負っており、グレートヴォルティジュールSのコンティニュアスは58キロだった。欧州のブックメーカー、JRAが発売する日本のオッズでともにコンティニュアスが上位人気になっているのであれば、フリーウインドにも十分勝機がある。

母アライヴアライヴオーはアイルランドで重賞好走歴があり、その半弟でおじにあたるクレッシェンドラヴは19年の福島記念、20年の七夕賞を制した日本の重賞ウイナー。レースが終わったパリロンシャンのパドック、最後の凱旋門賞でデットーリジャンプ(フライングディスマウント)が見られるかもしれない。