役者が帰ってきた! 武豊騎手(54)が22年ダービー馬ドウデュース(牡4、友道)をG1・3勝目に導き、人馬とも完全復活した。
鞍上は10月29日天皇賞・秋のレース前に右太もも筋挫傷を負い今月16日に実戦復帰したばかり。直線鋭く伸び、スターズオンアースを半馬身差競り落とした。勝ち時計は2分30秒9。秋2戦コンビを組めなかったパートナーとこの日「1鞍入魂」。池添謙一騎手に並ぶレース最多4勝目を挙げた。4勝のうち3勝を12月24日のクリスマスイブ決戦で手にした。
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競馬はやはり武豊だ。スタンドの「ユタカコール」に両手を上げた。「僕も、ドウデュースも帰ってきました」。ダービー馬ドウデュースで年末のグランプリを締めた。最高のコンビにファンが酔いしれる。有馬記念最多タイの4勝。クリスマスイブ決戦を勝ったのは3回目。「メリークリスマス!」。ユタカコールの後、鞍上のひと言が場内を笑いに包んだ。
手綱さばきでも魅了した。前進気勢の強いパートナーと折り合い、後方集団でじっくりためた脚は2周目の3角から使い始めた。外から駆け上がる。逃げたタイトルホルダーを目がけて加速し続ける。内からはスターズオンアースの急襲。全てをねじ伏せるように、昨年のダービー以来のG1勝利をもたらした。その時は同馬の走りを「しびれるような手応え」と評した鞍上は、この日「今日の1周目は本当に手がしびれるかと思った(笑い)。抑えるのに苦労しましたね。でも3角過ぎに進出した時には、それこそしびれるような手応えでした」と振り返った。
楽に頂点に立ったわけではない。騎乗予定だった天皇賞・秋当日の新馬戦後に騎乗馬に蹴られて右太ももを痛めた。すぐに回復はせず、ジャパンCも騎乗を見送った。「休んでいる間、いろんな人に励ましてもらった。有馬も最後まで他の騎手を確保せずに、陣営が乗れるなら乗ってくれと言ってくれた。後押しになった」。周りの支え、そしてグランプリでドウデュースに乗る。強い思いで大舞台までたどり着いた。「やっぱり競馬はいいと思います」。レジェンドの本音だった。
G1馬8頭が集った一戦を制した。視線の先は当然、再び世界に向く。「世界レベルの馬だと思っているし、海外はフランス、ドバイと遠征して悔しい思いをしている」。完全復活した武豊ドウデュース。その足跡は来年もっと深く刻まれるはずだ。【舟元祐二】
◆ドウデュース▽父 ハーツクライ▽母 ダストアンドダイヤモンズ(ヴィンディケイション)▽牡4▽馬主 (株)キーファーズ▽調教師 友道康夫(栗東)▽生産者 ノーザンファーム(北海道安平町)▽戦績 12戦6勝(うち海外2戦0勝)▽総収得賞金 10億2844万9400円(うち海外118万6400円)▽主な勝ち鞍 21年朝日杯FS(G1)、22年ダービー(G1)、23年京都記念(G2)▽馬名の由来 する+テニス用語(勝利目前の意味)。

