佐賀競馬場で2月11日(日)に、2024佐賀競馬引退競走馬支援推進デーとして「引退競走馬サミット」が行われる。引退した競走馬がよりよい余生を過ごせるよう、私たちが取り組めることを考える機会とし、引退競走馬支援の活動を知ってもらう機会とする。日刊スポーツではサミットを前に、引退競走馬について考える5回連載を行う。第4回は、引退競走馬の休養施設「引退馬の森 ホースレスト」(大阪府河内長野市)を取材した。

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にぎやかな大阪の中心街から少し離れた自然の中に、ホースレストはある。競走馬や乗馬から引退した馬の“休養・養老”施設として、24頭の馬が自然の中でのんびりと過ごしている。千葉県にある東関東馬事高等学院/東関東馬事専門学院との提携施設でもあり、ケガをした学校の馬を休養させたり、また生徒の研修の場ともなっている。

プライベートな休養施設というのがモットー。オーナーのみが来場でき、所有馬とふれあったり、軽く乗馬をすることができる。「週3日で見に来たりするオーナーさんもいますよ。頻繁に来られない方には、愛馬の様子がわかるよう写真や動画を撮って送ったりしています」。近藤朱音代表はそう話す。馬房にはカメラがあり、リアルタイムで馬の様子を見ることができる。離れていても愛馬を身近に感じることが可能だ。

馬は毎日、時間を区切って1頭ずつ放牧される。室内の運動場もあるため、天気が崩れても運動することができる。「1頭ずつ放牧に出るのでケガのリスクも減ります。頭数も少なめなので、人の目が届く時間が長く、体調やケガの発見もできますね」。管理する頭数が少ないからこそ、綿密なケアが施される。

ただ、すべての引退競走馬がホースレストのような場所で余生を過ごせるかというと、現実はそうではない。日本国内では毎年、約7000頭のサラブレッドが生産されている。大きな経済活動を生み出す一方で、引退競走馬の支援は現在の課題となっている。近藤さんも危機感を持つ1人だ。

「全部の馬を救うのは無理です。でも、1頭でも多くの命を救いたい。TCC(引退競走馬ファンクラブ)との連携やRetouch(引退馬支援団体)の活動もありますし、ケガをした馬の治療や引退競走馬の乗馬リトレーニングは学生の学びにつながるため、教材として(馬を)引き取ることもできます。また、紙一重で救われる子もいます。引退馬支援を知ってもらって、支援者の方が増えたらいいなと思います」

日々、引退競走馬の余生に寄り添っているからこそ、現実を見つめながらも目指すべき道をはっきり描いている。支援の輪がもっともっと広がることを願って、近藤さんの活動は続いていく。