いざ桜の季節へ、準備はいいか! 11番人気のエトヴプレ(藤岡)が逃げ切り、桜花賞への切符を手にした。積極的に先手を取り、後続を振り切った。勝ち時計は1分20秒1。

藤岡佑介騎手(37)はペプチドナイルで制したフェブラリーS以来となる今年のJRA重賞2勝目。藤岡健一調教師(63)は23年大阪杯(ジャックドール)以来の同通算17勝目となった。2着コラソンビート、3着セシリエプラージュまでの3頭が優先出走権を手にした。

   ◇   ◇   ◇

絶妙な逃走劇だった。緑のターフに映える芦毛の馬体を弾ませ、11番人気の伏兵エトヴプレが押し切った。検量室前で右手を挙げ、白い歯を見せた藤岡佑騎手は「ここに向けて賞金は加算できていましたし、じっくり調整できていました。状態はかなり上がってきていたので、自信はありました」と笑顔で振り返った。

人馬の信頼がなせる逃げだった。当初は行く馬を行かせて、好位を取るプラン。「逃げようとは思っていませんでしたが、押し出される形でしたし、このペースなら粘れるなと思いました」。前半600メートルが33秒8という例年より若干遅めのラップを刻んで、リズム良く直線へ。「慌てて追い出すと内にもたれるところがありますが、じっくり追い出せた分、最後の1ハロンも止まらずに伸びてくれました」。人馬の呼吸を合わせて、見事に後続の追い上げを振り切った。

トライアルを制し、いざ本番の桜花賞へ。鍵はさらなる距離延長となる。鞍上は「1400メートルがギリギリかなと思います」と話したが、続けて「(以前より)かなり落ち着いていますし、コントロールも利くようになってきました」と気性面の成長に、克服の可能性を見いだす。藤岡師も「権利を取ったので、桜花賞に行かないわけにはいかないね。マイルがどうかと言われるかもしれないけど、こなしてもらえるように頑張ります」と期待を寄せた。世代随一の快速馬なら、桜満開の仁川をすいすいと走りきってしまうかもしれない。【藤本真育】

◆エトヴプレ ▽父 トゥーダーンホット▽母 ナフード(クロドヴィル)▽牝3▽馬主 H・H・シェイク・ハムダン▽調教師 藤岡健一(栗東)▽生産国 アイルランド▽戦績 6戦3勝▽総獲得賞金 8243万5000円▽馬名の由来 準備はできましたか(フェンシング用語)