20日水曜の栗東トレセンは雨が降り、晴れたと思ったら、より強い雨風にさらされる…という、天気が安定しない1日でした。そんな中で行われた高松宮記念の最終追い切り。今回が引退レースとなるメイケイエールも池添騎手を背に坂路を駆け上がりました。

前半は頭を上げるしぐさを見せていましたが、残り2ハロンを過ぎると、真っすぐに登坂。鞍上は「山(坂路)の方が引っかかる…。でも動きはいいですね」と話します。

皆さんご存じの通り、かわいい見た目とは裏腹に、レースでもかなり一生懸命になってしまうメイケイエール。これまで11戦でタッグを組んできた池添騎手が一番「やばい!」と思ったレースはどれなのでしょうか?

「一番は最初のスプリンターズS(21年=4着)かな…。もっとうまく乗れると思っていた」

21年スプリンターズS、確かにこれはパトロールビデオを見ただけでも衝撃を受けました。3枠6番からスタートすると、直後から頭を上げながら、内へポジションを取りにいく外枠の馬たちの中へ。「(手綱を)引っ張っても、頭を振って力を逃がしていて。馬群に突っ込んでいくから恐怖しかなかった」。

その後は、頭を上げる癖を出させないために使う折り返し手綱や、目元が網目になっているパシュファイヤー、昨年は「エッグバット ハッピータン」という珍しいハミなどさまざまな馬具を試してきました。「今年から禁止となったけど、折り返し手綱があったから、1本の手綱で我慢できていた」と馬具の効果を伝えます。

この中間は角馬場で運動するメイケイエールの動画を撮りながら見守ったり、ゲート練習に一緒に行く池添騎手の姿を見かけました。「一生懸命で常に全力を出し切る。我が強いし、自分しか持っていないけど…(笑い)」。この言葉にも、愛が伝わってくるのは私だけではないと思います。ジョッキーはもちろん、陣営の思いすべてがギュッと詰まったラストラン。応援せずにはいられません。【下村琴葉】