土曜阪神8R(4歳上1勝クラス、ダート1800メートル)で、千葉ロッテの吉井理人監督(58)が所有するリジン(牡5、宮本)がJRA初勝利を挙げました。

2番手でリズムよく運び、4コーナーで早め先頭に立つと、直線では1番人気スリリングチェイスと白熱のたたき合い。お互い譲らず、どうなるかと思いましたが、残り200メートルを切ってから、リジンがグイグイと半馬身、抜け出しました。ものすごい根性でした。

検量室前では管理する宮本師、担当者さん、オーナーのエージェントさんたちがホッとした表情で引き揚げる馬を待っていました。それもそのはず、中央初勝利までの道のりは簡単ではなかったからです。

もともとリジンは美浦の高橋文厩舎に所属していました。デビュー前に骨盤の骨・腸骨を骨折。中央でのデビューはかないませんでした。地方の浦和競馬へ移籍して22年10月にデビュー。その後は破竹の勢いで5連勝を飾り、地方成績7戦5勝、2着2回で今年2月にJRAへ再転入しました。

再転入先となった栗東・宮本厩舎では、かつて18年凱旋門賞(17着)にも出走したクリンチャーを担当した長谷川助手が担当に。入厩した時にお話をうかがうと「素質を感じる馬。オーナー、生産者、浦和の方の思いもあると思うし、なんとか中央で勝たせてあげたいですね」と話していました。

この白星はオーナーはもちろん、これまでリジンに携わってきた多くの人がバトンをつないでつかんだ1勝なのです。大きな壁を乗り越えて、大きな勝利をつかんだリジンは、まさに“俺たちの誇り”。これからもけがなく、ゴールまで駆け抜けてほしいです。【下村琴葉】