夏もキング姐さんだ! 世代最初の重賞、函館2歳S(G3、芝1200メートル)は門別からの転厩初戦だった9番人気エイシンディード(牡、大久保)が制した。勝ち時計1分8秒4。今週から短期免許を取得したレイチェル・キング騎手(34)との鮮やかな逃げ切りで単勝48・7倍の波乱を呼んだ。

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悠々と逃げるキング騎手とエイシンディードに、函館がどよめいた。「これは逃げ切るぞ」。4コーナーを抜群の手応えで回り、先頭で直線へ。その背中を追いかける人気馬との差は、詰まりそうで詰まらない。鞍上の鼓舞に応えて二枚腰を発揮し、後続を2馬身差で突き放した。

“キング姐さん”で親しまれているR・キング騎手はJRA重賞5勝目に目尻を下げる。「良いスタートを切ってそのまま逃げることができました。残り600メートルからギアチェンジができて、スムーズにペースアップできました。1200メートルがこの馬にとって強いですね」とスピードを評価した。

今年2月はフェブラリーSで女性騎手として初めてJRAの平地G1を勝利した。3度目の短期免許初日となった19日は初参戦の函館でいきなり2勝をマーク。その勢いでタイトルをも獲得し、存在感を発揮した。「ファンの皆さんがいつも温かい気持ちで応援してくれています。今回の短期免許も頑張ります」。たくさんの声援を全身で受け止めた。

大久保師も巧みなリードに舌を巻いた。「転厩初戦でしたし、芝も初めてだったので、ジョッキーに任せるという感じでした。キング姐さんがうまかったですね」。母エーシンエムディーはかつて大久保厩舎に所属しており、芝の短距離で3勝。血統的に芝適性は秘めていた。今後は馬の状態を見て決定する。

キング騎手は次週の関屋記念でカナテープとタッグ。その後は札幌に転戦し、札幌記念で日本での1カ月を締めくくる予定だ。各地で“キング姐さん旋風”が巻き起こる予感がする。【下村琴葉】

◆エイシンディード▽父 ファインニードル▽母 エーシンエムディー(キングカメハメハ)▽牡2▽馬主 (株)栄進堂▽調教師 大久保龍志(栗東)▽生産者 山田昇史(北海道浦河町)▽戦績 3戦2勝(うち地方2戦1勝)▽総獲得賞金 3334万1000円(うち地方190万)▽馬名の由来 冠名+証書