高野酒造/新潟市
「飲み進むうちにさりげなくおいしさに気づく酒を目指しています」と高野社長

 国内最大の砂丘湖でラムサール条約登録湿地である佐潟のすぐ近くに高野酒造は1899年(明治32)に創業した。「白露」「越路吹雪」の代表銘柄に、2007年(平成19)「水の都柳都 吟醸」が加わった。新潟市が日本海側初の政令指定都市になったのを記念し、新潟市の異名「柳都」にちなみ誕生した県内限定販売の吟醸酒だ。

 「コンセプトは『にいがた酒の陣』と似ています。新潟に来て飲んでいただいたり、土産に買って帰っていただく。県外に出回らない、地域に根ざした酒です」と今月12、13日に13回目が開催され12万人以上が来場した「酒の陣」実行委員である高野英之社長は説明する。

 今まで吟醸酒のみだった「柳都」の純米大吟醸酒が昨年デビューした。それが今回の一本「水の都 柳都 純米大吟醸」。こちらも県内限定販売だ。さらに「高級酒である純米大吟醸を買いやすい価格で」という目標を掲げて造られた一本でもある。コストパフォーマンスを高めるため原料米を工夫。地元生産者の顔が見える米作りに取り組み、品種は一般米の「こしいぶき」を使用。一般米の中でも醸造適性は高いが酒米に比べて粘りがあるので麹作りは難しく高い技術力を要する。

 それに挑んだのが42歳の石川博規杜氏を中心とする4人の蔵人だ。平均年齢38~39歳の蔵人たちの、型にはまらない自由な発想もあり、目指す酒が形になった。

 一般米で酒を造ることにはもう1つの理由がある。「米の消費が落ちている今、食べるだけでなく酒にすることで地域の生産者のお手伝いができれば」と高野社長。現在7軒の農家が原料米を契約栽培しており今後も増やしていく予定だ。酒にとって米はただの原料ではない。酒と米との関係の奥深さに思いを巡らせながら、酒を味わってみるのも悪くない。【高橋真理子】

[2016年3月26日付 日刊スポーツ新潟版掲載]