前回より、さらに内容ある投球だった。吉田輝の最大の良さは、メリハリのついた投球にある。まず、初球からあまり厳しいところへ投げすぎない。大胆にストライクを取ることができるのが特徴。初球からコースや高さをきっちり投げたがる投手は、打者を追い込んでも手詰まりになる。そして、いろいろなボールを投げすぎないところ。沢山の球種を投げたがる投手も、やはり、追い込んでから手詰まりになる。追い込んでから楽に打者を打ち取れる良さが、テンポの良い投球につながっていた。

6回に手痛い3ランは浴びたけど、今の吉田輝に、ここを指摘するのは酷だろう。あえて、言うなら…。相手は現在パ首位打者。1、2打席目とも直球で打ち取ったのだから、3打席目は必ず直球でやられない待ち方をする。コースも高さも最高のボールを投げて、はじめて、打ち損じてくれるかなという3打席目だった。打たれたことが、今の彼にとって財産。しっかり打者と勝負にいける投手なので、この傾向を頭に入れておけば成長は速いはず。

このまま的を絞った取り組みをして、来年の春季キャンプに備えて欲しい。来季、いきなり2桁勝利は難しいかもしれないが、直近2試合を見る限り、先発ローテーション争いに参加する準備が整った1年だったと思う。(日刊スポーツ評論家、侍ジャパン投手コーチ)

日本ハム対オリックス 5回表を無失点に抑えグータッチを交わしながらベンチに戻る日本ハム吉田輝(左)と宇佐見(撮影・佐藤翔太)
日本ハム対オリックス 5回表を無失点に抑えグータッチを交わしながらベンチに戻る日本ハム吉田輝(左)と宇佐見(撮影・佐藤翔太)