元オリックス監督で日刊スポーツ評論家の大石大二郎氏(62)がソフトバンク-阪神戦をチェックし、佐藤輝の2番に疑問を投げかけた。マッチする打順はズバリ3番。そのココロは?【取材・構成=松井清員】

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佐藤輝は3番でいいんじゃないですか。1番近本、2番糸原で左が3人並ぶのはいやかも知れないけど、3人とも左はさほど苦にしていない。昨季近本の対左腕打率が2割8分6厘で、糸原も2割6分8厘なら悪くない。何よりシーズン出塁率が近本3割4分4厘、糸原3割5分7厘と高かった。その2人を佐藤輝がかえすパターンが一番合っていると思う。左3人を嫌うなら、1番近本で2番がサンズかマルテ、3番佐藤輝でどうでしょう。これならジグザク打線が組める。

近年は2番最強打者の風潮もあるが、私には少し理解しがたい。初回に1番が出ても、2番は打つしかないので、単打なら一、二塁か一、三塁止まり。長打が出ないと点が入らない。もし1番が凡退すると、走者なしで力のある2番が打席に立つことになる。やはり、かえせる打者は走者を置いて回したい。1、2番に出塁率の高い選手を置けば、その確率が高くなる。初回に必ず打席に立てる3番には、得点圏打率の高い打者を置くべきでしょう。

エース級との対戦ならなおさらです。初回の立ち上がり、よーいドンでどう1点を取るか。2番は出塁率の高さプラス、送ったり進塁打が打てるなど、小技ができる日本人選手を置く方が攻撃の幅が広がる。佐藤輝も実際、キャンプ実戦で多く3番を打ち、結果を出しているのだから、一番落ち着く打順だと思います。

ただ阪神のメンバーを見ると、4~5年実績を出したレギュラーがいないので、スタメン固定はシーズンに入ってからかもしれません。大山も本塁打を打ったけれど、不安定な部分も感じる。目の前で佐藤輝が打ち過ぎて過剰に意識しないか、自分の打撃を忘れてしまわないかも気になるポイントです。佐藤輝も中堅から逆方向には打っているけれど、この日も相手バッテリーが多く内角球を要求していたように、速球に差し込まれる傾向がある。今後、厳しい内角球を引っ張り切れるかが課題の1つでしょう。もちろん大山次第では、シーズン途中から「4番佐藤輝」の可能性も十分あると思います。佐藤輝が定位置を確実にしたことで、糸井や両外国人の1人が代打で控える。打線が厚みを増したことは間違いない。(日刊スポーツ評論家)