佐藤輝のすごさを見せつけられた裏で、4番大山の働きは見逃せなかった。西武先発の高橋には全くタイミングが合っていなかったが、7回森脇、9回ギャレットから放った適時打は価値があった。

2点ビハインドの9回は1点を返し、なおも1死一、三塁。ギャレット-森の西武バッテリーにストレートで1-2と追い込まれたが、4球目のスプリットを左前に同点打。変化球待ちが的中した。

大山が背中の張りで離脱していた間に「4番」に起用されたのは佐藤輝だった。ホームランの効果は大きく、長打力を発揮するルーキーだが「4番」は大山が適任で、このまま継続すべきだろう。

劇的な1勝をモノにした阪神だが、ここにきてスンナリと逃げ切ることができなくなってきたのも事実だ。この一戦も青柳をリリーフした岩貞、3番手の馬場が西武打線につかまっている。

馬場については2戦連続の被弾だった。1点リードの7回、先頭若林に2ストライクから慎重になるべきところを中前打、続く2番森の左二塁打にロハスの失策が絡んで同点。その直後に中村に右越え2ランを打たれた。

交流戦開幕の25日ロッテ戦では岩崎がマーティンに手痛い1発を浴びているし、リリーフに不安を残した。監督は9回のスアレスが打たれるのはあきらめがつく。だが逃げ切りに入った継投が失敗すると迷いが生じるものだ。

8回には5番手斎藤が好投したが、「右のリリーフ」が1枚欲しい。西武に先勝したチームはこの勢いを2戦目に生かしたい。糸井の「DH」起用もありだ。(日刊スポーツ評論家)