阪神は8回途中、岩崎に代えてスアレスを突っ込んだ。その守護神が9回も抑えて巨人を振り切った。

権藤 最後の逃げ切りは、阪神がギリギリのところに追い込まれている現状を示していた。今は巨人もフラフラしている。一方の首位ヤクルトは中日に敗れたとはいえ、勢いづいているから、そうガタガタと崩れることはないだろう。阪神も、巨人もここまで優勝争いをしてきたのは立派だ。だけどずっと気になっているのは佐藤輝の起用法だ。

大山が背中の張りを訴えたことで、三塁の守備位置に就いたのは佐藤輝だ。5月19日ヤクルト戦(甲子園)以来となる三塁でのスタメン出場だった。

権藤 チームが巨人に勝ち越したとかいうことより、大事だと思っているのは佐藤輝の使い方だ。そもそも誰もが20年、30年に1人の逸材と思っているのに、どうしてずっとスタメンで使い続けることができなかったのだろう。大山が不在になって三塁が空いたからといって、そこに起用するのも反対だ。それなら開幕から三塁に固定すべきではなかったのか。ファーム行き、ベンチに引っ込めたりで、佐藤輝の育て方には一貫性を感じない。

佐藤輝は0-0の2回1死一塁から10打席ぶり安打となる右前打を放った。2死満塁になった後、近本の右前適時打で2点目のホームを踏んだ。

権藤 佐藤輝からホームランが出なくなったのが気になって仕方がない。今シーズンの阪神が優勝争いできた一番の要因は、佐藤輝の存在であるのは誰もが認めるところだ。それが今は、打席から本塁打が出るムードが伝わってこない。まだ何が起こるかわからない。でもチームに勢いを感じないのは、そこに問題があるのではないだろうか。【取材・構成=寺尾博和編集委員】

巨人対阪神 2回表阪神1死一塁、佐藤輝は右前打を放ちガッツポーズ(撮影・加藤哉)
巨人対阪神 2回表阪神1死一塁、佐藤輝は右前打を放ちガッツポーズ(撮影・加藤哉)
巨人対阪神 7回裏巨人2死一塁、立岡の打球をファンブルする三塁手佐藤輝(撮影・狩俣裕三)
巨人対阪神 7回裏巨人2死一塁、立岡の打球をファンブルする三塁手佐藤輝(撮影・狩俣裕三)