阪神佐藤輝明内野手(22)が藤浪晋太郎投手(27)から今季1号アーチを放った。 紅組の4番として2回に先頭で対戦。フルカウントから4度、ファウルで粘った末に高め速球を強振すると左翼ポール際に運んだ。

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佐藤輝の本塁打は実にいい打撃でした。掛布雅之さんがよく「レフトへ引っ張る」とおっしゃいますが、まさにそういう感じ。打球方向は違いますが昨季、敵地の西武戦で3発打ったときの3本目、大きな当たりを思い出しました。

ポイントは2つです。まず体が反っていないということ、次に右手の使い方がよかったという点です。

自分も経験がありますが、飛ばしたいと思うと体を反りたくなるもの。球にコンタクトしてから反るのはいいけれど当たる前に反ろうとすると、どうしてもバットが下から出て、いわゆる“潜る”ような形になってしまう。佐藤輝のよくないときがこれです。この日の打撃は力まず、変に反ることもなかった点がよかったと思います。

さらに右手の使い方です。右手の甲がスイングし終わった後でしっかり地面を向いていました。右腕も右脇に収まるようにきれいに回転できています。この形なら、たとえ詰まっても左手で押し込める。いずれにしても佐藤輝にすればそれほどにフルスイングした意識はないはず。「それでこれだけ飛ぶ」ということを実感できれば今後に大きいと思います。

打撃フォームについてはオフから試行錯誤を繰り返しているようで、これはいいことでしょう。選手として先は長いですし、自分でしっくりいくフォームを身につけてほしい。その意味でもこの日、本塁打を放った打撃フォームはヒントになる気がします。(日刊スポーツ評論家)