阪神のキャンプを見ていると、先発陣が充実している半面、今年戦うリリーフ陣の顔が見えないのが心配だ。

抑え候補のケラーは来日時期が不透明で、仮に岩崎を守護神に置くと、7、8回は誰なのか。練習試合や紅白戦は中継ぎ陣のピリッとしない姿が目立ち、矢野監督の不安は大きいと思う。言葉は悪いが、敗戦処理的な投手は多くいても、勝利の方程式が見えない。

まずは先発で調子の出ていない左の及川を戻して、7、8回を任せるしかないのではないか。右はアルカンタラが故障中で馬場、石井、小野、小川、浜地、湯浅らが挙がるが、誰も決め手がない。むしろ勝利の方程式というからには、もっと高いレベルを見せないとシーズンでは通用しない。

昨年までの9回制から延長12回制に戻るので、少なくとも2人はリリーフを増やす必要がある。質だけでなく、量も求められる。阪神は17年から4年連続で救援防御率がリーグ1位だったけど、昨年は岩崎とスアレスの前が不安定で5位まで落ちた。さらに今年はそのスアレスが抜け、キャンプ終盤にきても勝ちパターンが不透明な状況にある。

後ろがしっかりしていると、バントで送って1点勝ち越せば良いとなる。でも不安定な場合は1点では足りないから、打って打ってもっと追加点を、とならざるを得ない。つまり、チームの野球、作戦自体が変わってしまう。昨季総得点がリーグ5位だった阪神には難しい課題になってくる。

3月25日の開幕まで、お試しができるオープン戦は15試合。強固な勝利の方程式を構築できるのか。今季を占う大事な1カ月になる。(日刊スポーツ評論家)