首位らしからぬ巨人の自滅に、最下位の阪神は勢いづいた。7回は1イニングだけで6四球を献上された挙げ句、中野、糸井のヒットなどで6点をもらった。

梨田　巨人戦に勝ち越しての5連勝は気分も良いだろうし、大型連休に大型連勝で、チームがさらに加速するかもという期待をもたせる勝ちになった。巨人に助けられたとも言えるが、運も味方につけたということだろう。その7回は押し出し四球で1点を勝ち越した直後、中野が粘った末に2点タイムリーを放った。でもこの一戦の潮目が変わったのは、むしろその前の中野の二盗だった。

1点を追う6回2死、中野がシューメーカーから中前打で出塁。3番佐藤輝の1ストライク後に一塁けん制が入って、2球目はウエストされる。中野は続く3球目に二盗を決めた。球種はスプリット。その後カウント2－2から佐藤輝が左前打で同点に追いついた。

梨田　巨人バッテリーは一塁けん制で探りを入れ、2球目はウエストで引き続き警戒してきた。ここで一塁走者中野が次の球がスプリットだと読んでもおかしくなかった。シューメーカーも左足を高く上げたし、思い切ったスタートが功を奏した。また佐藤輝のヒットだが、こちらはスプリットを選択するのかと思ったが、バッテリーは裏をかいたつもりなのか、外角寄りのストレートを左前に打ち返された。真っすぐで攻めるならインハイだろう。

3カード連続で勝ち越しても借金11だから、改めて開幕直後のダメージは大きすぎた。

梨田　確かに気の長い話だが、早く借金を1ケタまでもっていくことだ。そうすれば勝率5割もすぐ目の前に見えてくるだろう。

【取材・構成＝寺尾博和編集委員】