阪神にとって試合としては完敗だが、内容は紙一重だった。今季15度目の完封負けらしいが、そんなことガタガタいったって1敗に変わりない。「失礼しました」といって済ませることだ。

確かにソフトバンク先発レイには緩急をつけた球をちりばめられた。阪神サイドからすると、特に緩いボールが邪魔になった。ほとんどいい当たりがなかったのは、狙い球を絞り切れなかったからだろう。

紙一重といったのは、点の取られ方にあった。併殺崩れで先取点を奪われると、3、4回は2死からの追加点で、5回はデスパイネに完璧な本塁打。ソフトバンクに1点ずつうまく点を取られた。

つまり、阪神が先手を取っていれば、勝ち負けが逆になる可能性もあった。カード負け越しを喫した阪神だが、交流戦を見ているとチーム力は上がってきている。今後の戦い方によっては、上位浮上のチャンスも出てくるだろう。

そのためにはレギュラー捕手を固定することだ。結局ソフトバンク3連戦は梅野、坂本、長坂と3試合ともスタメン捕手を変えて起用した。チーム内の評価はわからないが、はたからの考えでは梅野を主戦に戦うべきだ。

キャッチャー出身の矢野監督は一番分かっているはずで、ピッチャーでいう守護神と同じで、ここをコロコロと替えているうちは強くならない。ここからはどっしりと“扇の要”を固定し、チームはオリックス3連戦で弾みをつけることだ。

(日刊スポーツ評論家)

ソフトバンク対阪神 2試合連続でソフトバンクに完封負けとなった阪神(撮影・岩下翔太)
ソフトバンク対阪神 2試合連続でソフトバンクに完封負けとなった阪神(撮影・岩下翔太)