阪神森木大智投手(19)は6回につかまりましたが、高卒1年目の新人が5回を無失点に抑えること自体、大したものです。今季、阪神の先発は13人目の登板ですが、また楽しみな投手が出てきました。ドラフト戦略で毎年いい選手を取っていると感じます。

特に印象的だったのは、申告敬遠を除けば四球が0だったことです。捕手の坂本がコースのギリギリを狙わせるのではなく甘めに構えて、多少アバウトだけど、ストライクゾーンに伸び伸び投げていく。逃げずに打者に立ち向かう投球スタイル、ストライク先行で勝負できるコントロールは大きな武器で、四球から崩れるタイプでもなさそうです。0-0で進んだ展開も、いい意味の緊張感が保ててよかったように思います。

もちろん一番の魅力はストレートです。球速は常時150キロ前後出ていて、中日打線もその真っすぐを狙っていましたが、差し込むケースが目立ちました。力感のないフォームとのギャップもあって、少々甘くなっても空振りやファウルが取れたり球威が勝っていました。真っすぐをガツンととらえられたケースもほとんどなく、自信を持って磨いいってほしい特長です。

スプリットも低めに決まって、時折交ぜるカーブも効果的でしたが、課題を挙げるならスライダーの精度でしょうか。大きく外れたり、6回先頭のレビーラに中前打された球は、本塁打にされてもおかしくない甘さでした。また、最終的に打ち勝ったとはいえ、中日打線は全体的に低調だったので、今後ヤクルトやDeNAなどの強力打線と対戦した時に、どこまで通用するかも注目です。ただ、阪神の先発陣は青柳らを筆頭に頭数がそろっているので、次回のチャンスがもらえるのかどうか。来年以降の飛躍が楽しみですが、今年中にもう1度、見たい投手ではあります。(日刊スポーツ評論家)

中日対阪神 4回裏中日2死、阿部のハーフスイングをアピールする森木(撮影・森本幸一)
中日対阪神 4回裏中日2死、阿部のハーフスイングをアピールする森木(撮影・森本幸一)
6回裏中日攻撃終了、ベンチに戻り坂本から声をかけられる森木(右)(撮影・森本幸一)
6回裏中日攻撃終了、ベンチに戻り坂本から声をかけられる森木(右)(撮影・森本幸一)
中日対阪神 矢野監督(左)は先発森木に声を掛ける(撮影・上田博志)
中日対阪神 矢野監督(左)は先発森木に声を掛ける(撮影・上田博志)
中日対阪神 6回裏中日2死二塁、マウンドで帽子を取り汗を拭く森木(撮影・森本幸一)
中日対阪神 6回裏中日2死二塁、マウンドで帽子を取り汗を拭く森木(撮影・森本幸一)
中日対阪神 初登板の森木はマウンドに一礼する(撮影・上田博志)
中日対阪神 初登板の森木はマウンドに一礼する(撮影・上田博志)
中日対阪神 4回裏中日2死、阿部を空振り三振に仕留め、グラブをたたいてベンチへ戻る森木(撮影・前田充)
中日対阪神 4回裏中日2死、阿部を空振り三振に仕留め、グラブをたたいてベンチへ戻る森木(撮影・前田充)
中日対阪神 5回裏中日2死、大野奨を空振り三振に仕留め、笑顔でベンチへ戻る森木(撮影・前田充)
中日対阪神 5回裏中日2死、大野奨を空振り三振に仕留め、笑顔でベンチへ戻る森木(撮影・前田充)
6回裏中日攻撃終了、ベンチに戻り福原投手コーチから声をかけられる森木(右)(撮影・森本幸一)
6回裏中日攻撃終了、ベンチに戻り福原投手コーチから声をかけられる森木(右)(撮影・森本幸一)