阪神は痛恨の完封負けを喫し、DeNAに逆王手をかけられた。初戦から2連勝のファーストステージ突破を狙ったが、DeNA大貫に7回途中まで10三振を奪われるなど、打線が2安打と沈黙。雌雄を決する10日の第3戦へ、日刊スポーツ評論家の桧山進次郎氏(53)は「開き直り」の重要性を強調した。【聞き手=佐井陽介】

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勝負の分かれ目は7回表にありました。1点を追う阪神の1番中野選手が内野安打と二盗を決め、2番糸原選手も犠打で送って1死三塁。この日唯一の好機を迎えた場面です。無失点投球を続けていたDeNA大貫投手が降板し、2番手伊勢投手がマウンドに登場。ここで3番近本選手が初球を打ち上げてしまったことで、一気に形勢が逆転したように感じました。

伊勢投手はDeNA中継ぎ陣が誇る好投手。150キロ超の直球にフォークとスライダーがあり、打者は速球と変化球のどちらかに絞って勝負をかけるしかありません。結果、初球は外角要求が逆球となった内角150キロ。もしかしたら近本選手は頭になかったボールにやや迷いが生じてしまったのかもしれません。ここで近本選手が初球から三邪飛に倒れたことで、4番大山選手は難しい判断を迫られることとなりました。

大山選手は初球、内寄り151キロストライクを見逃しています。こういう時、打者は「2人連続で初球から凡退できない」とやや自重気味になってしまうものです。もともとは初球から積極的にスイングしていくタイプなのですが、前日8日に3ボールから中途半端なスイングをしてしまったことも影響したのかもしれません。結局、大山選手は2球目の149キロをフェンス際まで運びながら中飛。決して悪い当たりではありませんでしたが、次戦は初球からガンガン振りにいく姿勢があっても良いように思います。

これでCSファーストステージの勝敗は1勝1敗の五分。阪神からすれば、DeNAに逆王手をかけられた形です。とはいえ、精神的に追い込まれる必要は全くありません。そもそもタイガースは借金を抱えながら3位に滑り込んだチーム。失うモノは何もないことを思い出すことが重要です。今度こそ受け身にならず開き直って、「イケイケどんどん」で積極的な姿勢を貫いてほしいものです。(日刊スポーツ評論家)

DeNA対阪神 7回表阪神1死三塁、近本は三邪飛を打ち上げる(撮影・加藤哉)
DeNA対阪神 7回表阪神1死三塁、近本は三邪飛を打ち上げる(撮影・加藤哉)
DeNA対阪神 7回表阪神2死三塁、中飛に倒れる大山。投手伊勢(撮影・鈴木みどり)
DeNA対阪神 7回表阪神2死三塁、中飛に倒れる大山。投手伊勢(撮影・鈴木みどり)