阪神が05年以来、18年ぶりのリーグ優勝を決めた。本拠地甲子園は、その瞬間を見届けようというファンであふれた。今季最多4万2648人が見つめる中で、宿敵巨人に快勝して「アレ」を達成した。

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勢いに乗った阪神が、11連勝で優勝を決めた。宿敵・巨人を相手に本拠地で優勝を決めたのだから、喜びも大きいだろう。

まだCSも控えているが、今季の阪神の戦いぶりを見ると、よほどのことがない限り、負けそうな気配はしない。それぐらいの“強さ”を感じさせた優勝だった。

岡田監督を胴上げ監督にした一番の立役者に大山の名前を挙げたい。近年、優勝争いはするものの、夢の実現には至らなかった。投手陣はセ・リーグNO・1。しかし守備面や打撃面に課題があり、ここ一番の試合で勝ちきれない「勝負弱さ」が目立つチームだった。

守備面、打撃面、そして勝負弱さの解消に向け、岡田監督の狙いはすべて的中した。その岡田監督が目指すチーム作りで、すべての面で中心にいたのが大山だった。

守備面でいえば、サードの佐藤輝にはスローイングに不安があった。捕球しにくいワンバンを、何度もキャッチしてアウトにした。もし大山がファーストでなければ、佐藤輝のエラー数は格段に増えていたし、三塁手としての起用を考えなおさなければいけなくなった可能性まであったと思う。なによりストロングポイントでもあるバッテリーを中心にした守りの野球を、大山がバックアップした。

打線も春先は3番が固定できず、主に5番に起用した佐藤輝も今ほど打てていなかった。このまま4番の前後を打つ打者が頼りないと、大山まで打てなくなるのではないかと思っていたが、最後まで踏ん張りきった。

そして何よりも岡田監督を助けたのが、大山のプレースタイルだろう。凡打しても一生懸命、一塁まで走る。点差が開いても、ひた向きなプレーを怠らない。岡田監督が選手に対して厳しく指導しても、一切の手抜きがない大山のプレーを前にすれば誰も不平不満は言えなくなる。ケガにも強く、休まない。主力選手が簡単に休むチームに、本当の強さは備わらない。みんなのお手本になる主力選手がいれば、監督も厳しくチームを引き締められる。「甘さ」がなくなれば、チームにいい緊張感が生まれる。この緊張感に慣れていけば、チームの勝負強さは出てくる。

今試合も先制点は大山の犠牲フライだった。8本目の犠牲フライはセ・リーグトップ。現在、調子は良くないが、優勝の決まる試合で最低限の仕事をやれる技術を持っている証拠。先制点を取った直後に佐藤輝の度肝を抜くような2ランが飛び出し、最終回には1点差に詰め寄られ、一打出れば同点にされるピンチを招いた。大山の先制犠牲フライを忘れてしまった人もいるだろう。どちらかといえば地味なタイプで、それも大山らしい。チームの大黒柱として、見事な活躍だった。(日刊スポーツ評論家)

阪神対巨人 リーグ優勝を決め、マウンドに駆け出す大山(撮影・狩俣裕三)
阪神対巨人 リーグ優勝を決め、マウンドに駆け出す大山(撮影・狩俣裕三)
阪神対巨人 6回裏阪神1死一、三塁、大山は中堅へ先制犠飛を放つ(撮影・前岡正明)
阪神対巨人 6回裏阪神1死一、三塁、大山は中堅へ先制犠飛を放つ(撮影・前岡正明)