巨人則本がベテランの味を発揮した。阪神打線に6回、2安打で無失点。いいテンポで丁寧に投げ、すべての球種で精度が高かったが、投球内容で注目した球種がカーブだ。
2回、4番佐藤のカウント1-1の3球目、104キロのカーブで左飛に仕留めた。遅い変化球で、バッティングポイントを近くためすぎ、詰まった打球になった。2死一塁では、7番前川の初球に114キロのカーブ。5回の打席の初球にも102キロのカーブから入った。見送り方は、予測していないボールのように見えた。3回には1番近本に対して、初球、2球目にカーブを投じた。
93球中、カーブは5球だが、この5球に意味がある。どの球団もデータ野球を駆使するので、対戦した打者だけではなく、ほかの打者にもカーブの情報は伝達され、狙いダマを絞る上では、すごく邪魔なボールになる。投球の幅を広げるという意味では、すごく効果的だった。欲をいえば、もっと配球しても良かったと思う。
高速スライダーなど変化球の高速化がトレンド。かつてはカーブの名手という大投手がたくさんいた。それがデータ分析の進化や技術レベルの向上で、球速が遅いカーブは、リスクが高い球種へと認識が変わっていたように思う。確かに肩口からの甘いカーブは危険球だった。勝負球にするのはなかなか難しいとは思うが、相手打線に狙い球を絞らせず、戸惑わせるという球種にはなる。
今季からドジャース大谷がカーブを投げる割合が増え、山本由伸もカーブをポイントで投げる。手首の使い方など、操るのは難しい点もあるが、則本が好投したひとつの要因だったと思う。
ただ、打線は改善が必要なところが見えた。4回1死二、三塁と追加点のチャンスで、打席は中山。状況的にヒット狙いで、最低でも外野フライの場面。カウント2-1から、低めのフォークに二ゴロだった。相手バッテリーは前進守備で三振かゴロ狙いの配球で、フォークを4球続けた。
状況を考えれば、どんな配球をしてくるのか分かるだろうし、無理して打つボールではなかった。これは結果論ではなく、最低限の仕事を考えた上で、しっかり狙い球を絞ったかの問題。犠牲フライを意識し、目線を上げた上での凡打だったら仕方ないが、やるべきことができていなかった。拙攻で追加点を奪えず、則本の勝ちを消してしまった。巨人が上を目指す上では、細かいようだが、こういう考える野球は必要だと思う。(日刊スポーツ評論家)




