最下位に低迷する中日の要因といえば、エースとして期待されていた高橋宏の不振だろう。先発するのは5月31日以来。言うまでもないが、復調していればチームの最下位脱出へ、大きな戦力になる。
結論から言うと、文句ないできだった。真っすぐの最速は157キロで、アベレージでも150キロ台中盤をマークしていた。シーズン前半は力を入れて投げると、引っ掛けたり、抜けたりして制球力も悪く、体の開きも早かったため、バッターは球速よりも遅く感じていたのではないか。
コントロールもまずまずだった。もともとコーナーを突いて抑えるタイプではなく、力でねじ伏せるパワーピッチャーだが、内外角にも投げ分けされていた。低めに投げるというピッチングの基本への意識も高かったように思う。序盤は少し低めに引っ掛け、ワンバンしそうな真っすぐもあったが、中盤以降は収まっていた。こうなると変化球が生きてくる。
7回の2失点も問題ない。1死から岩田にセーフティーバントを決められ、今試合初となる四球を出したが、丁寧に投げられていた。宮本の2点タイムリーも4点リードしている状況で3ボールとなり、ストライクを取りに行った球を打たれたもの。一塁手の福永のエラーでもよかった打球だし、2点目もライトのエラーによるものだった。厳しく投げてほしかったとは思うが、状況的には仕方がないといえる。
高橋宏のピッチングは問題ないが、気になったのは8回裏の投球練習中に右足のふくらはぎを気にしていたところ。ベンチに帰って治療をし、そのまま投げて抑えたが、ここはベンチがストップをかけるべき。本人が続投を主張したのは間違いないだろうが、復帰戦であり、今後のことを考えれば無理にでも降板させた方がよかった。
9回は抑えの松山が上がったが、中日ベンチは行き当たりばったりのちぐはぐさがある。7回の岩田のセーフティーバントも、高橋宏の好フィールディングもあり、アウトの判定は微妙なタイミングだった。投手を激励する意味でもベンチはビデオ判定をリクエストしてよかった。交代のタイミングにしてもベンチが責任を取って選手を盛り上げてやろうという意思を感じなかった。
連敗中で当たっていないヤクルト打線を相手にしたピッチングではあるが、内容は十分に伴ったものだった。大事なのは次回の先発。ここで今試合のような結果を出せれば、最下位からの浮上も見えてくる。(日刊スポーツ評論家)




