エンゼルス大谷翔平投手(23)の行動が、敵地シアトルのファンをとりこにした。「彼は本当の紳士だ。スーパー親切だ。あんなことをしてくれる選手は、今まで見たことがない」。シアトル在住のマリナーズファンのジョシュ・エバンスさん(28)は信じられないといった表情で話した。前夜は、大谷に対して打撃ごとにブーイングが飛んだセーフコフィールドが、一転して拍手に包まれた。

 5日(日本時間6日)の試合前、大谷は翌日の登板に向けてキャッチボールを終えると、男性の求めに応じ左翼スタンドにボールを投げ入れた。ところが、ボールは壁に当たって、手前のブルペンに落ちた。もちろん、ファンはブルペンに立ち入ることはできない。そこで大谷は左翼付近から走ってブルペンに足を運んで拾い、手渡した。

 エバンスさんによると、ほとんどの選手は、投げ入れたボールがスタンドに届かない場合にボールを拾って再び投げ入れてくれることはない。だが、大谷は違った。前日、ブーイングを飛ばしたマリナーズのファンに笑顔でサインまでして手渡した。走ってダッグアウトに引き揚げる際には大きな拍手が送られた。エバンスさんは「感謝と尊敬の意味を込めての拍手だよ」と感激の面持ちだった。大谷の人間性が垣間見える行動に温かい気持ちになった。【MLB担当=斎藤庸裕】

練習中にファンのいるスタンドにボールを投げるも壁に当たりフェンスのすき間に落ち両手を広げるエンゼルス大谷(撮影・菅敏)
練習中にファンのいるスタンドにボールを投げるも壁に当たりフェンスのすき間に落ち両手を広げるエンゼルス大谷(撮影・菅敏)
練習中にファンのいるスタンドにボールを投げるも壁に当たりフェンスのすき間に落ち、自ら取りに行くエンゼルス大谷(撮影・菅敏)
練習中にファンのいるスタンドにボールを投げるも壁に当たりフェンスのすき間に落ち、自ら取りに行くエンゼルス大谷(撮影・菅敏)