読者の方の中にも、もしかしたらお気づきの方がいるかもしれないが、記者はアニメが好きだ。月に1回ほどのペースで回ってくる当コラムにおいても、ソフトバンクとアニメを絡めた話題がないか、探すことに全身全霊をかけている。そんな中、一世一代と言っては少々大げさだが、先日、気合の入る仕事があった。

8日、ヤフオクドームで行われたオリックス戦に人気声優の内田真礼がゲスト来場。そこで内田へのインタビューと、内田と福田秀平外野手(29)の対談を取材する機会をもらった。

対談は信じられないくらいスムーズに進んだ。お互いが、なぜこの2人が対談するのか、企画の趣旨をしっかり理解してくれていた。対談も終盤に差し掛かった頃には福田から「『食戟のソーマ』とか出てますよね」という言葉が飛び出した。驚いた。事前に対談相手のことを調べ、内田の出演するアニメという共通の話題を用意していたのだ。どういう展開になるか、不安もあった取材がうまくいき、救われた思いだった。

福田にとっては、もしかしたら思い出したくないかもしれない出来事を掘り返すことになる企画だった。それでも取材日まで1週間もないタイミングでの急な打診に「ぜひ。よろしくお願いします」と快く引き受けてくれていた。福田の懐の深さに大変驚かされた。

このとき、漠然と思い出したことがある。福田は今季、6月に自身6年ぶりの二塁守備に就いたことがあった。無難にこなした後に、こう話していた。「言われたところでやるだけです。プロ野球選手なので、できますよ」。時々、ノックなどで練習していたとはいえかなり急な起用だった。にもかかわらず、サラリと言ってのけた姿が思い出された。普段から代打、代走、守備固めに緊急のスタメンなどあらゆる役割をこなす福田だからこそ、当然のように「準備」「対応」ができたのかな、などと想像した。

そんな取材から数日後、最も驚くことを知らされた。内田の来場当日、ゲストがどんな人か、詳しく知らない選手もいたという。その中で福田は、関係者から仕入れた情報や自身が調べた情報を元に「野球界で例えると、柳田クラスの人気があるみたい」などと紹介していたそうだ。福田の説明に、チームメートも内田への関心を強めた。イベントが盛り上がった一因だったのではないかと思っている。

16日に柳田の頭部に打球が当たったときも、「トレーナー」と声を上げたのは福田だった。17日の西武戦で今宮が負傷したときも、ベンチから飛び出していた。自然と準備、対応、気配りができてしまう。そんな選手がスーパーサブとして控えているのだ。自力優勝が消え、主力を欠く苦境でも、ソフトバンクはただでは終わらないと感じている。【ソフトバンク担当 山本大地】

「アイドルマスター シンデレラガールズ」で内田真礼(右)が演じるキャラクター「神崎蘭子」とソフトバンクのコラボグッズを手に笑顔の福田秀平(2018年9月8日撮影)
「アイドルマスター シンデレラガールズ」で内田真礼(右)が演じるキャラクター「神崎蘭子」とソフトバンクのコラボグッズを手に笑顔の福田秀平(2018年9月8日撮影)