<パ・CSファイナルステージ:西武0-7ソフトバンク>◇第3戦◇11日◇メットライフドーム

ため込んだ「悔しさ」の総量は、ソフトバンクの方が大きかったのかもしれない。リーグVの西武を相手にクライマックスシリーズ(CS)ファイナルステージで3連勝。一気に王手をかけた。

初戦から打ち続ける工藤監督の豪胆な機略は、この日も緩まなかった。5点リードの9回無死一、二塁から、先制打を放っていた5番中村晃に2つ目となる送りバントのサインを送り、ダメ押しの2点を追加。「3連勝できるとは思っていなかった。でも、手を緩めることなく、しっかり戦っていきたい」。参謀役の森ヘッドコーチは、快勝にも気を引き締めた。

台風19号の影響で、10日に12日の試合中止が決まった。工藤監督は最後まで「全体練習」を主張するほど、妥協なき姿勢を見せていた。最終的にはチームの疲労度を考慮して投手練習のみと決めたが、指揮官の「闘志」は揺るぎなかった。楽天とのCSファーストステージ。初戦を落とした。主力選手の中でも「今年は(CS突破は)無理かもしれない」という声があった。だが連勝で勝ち抜くと、所沢でさらにチーム力は増した。この勢いならば「台風中止」の中1日の空白も影響はないだろう。逆に千賀の好投でブルペン陣を休ませることができ、ホークスにとっては「吉」と出るはずだ。

第4戦が行われる13日は、工藤監督にとっても忘れられない日。工藤監督を「兄貴」と慕っていたダイエー時代の後輩・藤井将雄氏(故人)の19回目の命日である。2年連続の「下克上」に向け、背番号「81」はシーズンの雪辱を晴らす必勝のタクトを振る。【ソフトバンク担当 佐竹英治】