中日の高橋宏斗投手(20)が、高卒2年目にして見事なピッチングを披露している。今季13試合に登板し、4勝4敗と勝ち星こそ多くないが、奪三振の多さが際立つ。78回1/3で94三振と、9イニングあたりの奪三振数を示す奪三振率は10・80。規定投球回には届いていないが、70イニング以上ではヤクルト高橋を抑えてリーグトップ。10・00以上は両リーグでも他に佐々木朗(ロッテ)だけの見事な数字だ。

【イラスト】今季の奪三振ランキング
【イラスト】今季の奪三振ランキング

高卒2年目でこの奪三振率は驚異的だ。シーズン100イニング以上を投げた高卒2年目以内の投手の奪三振率を調べると、一流とされる9・00以上が7人で、10・00以上は68年江夏(阪神)と14年大谷(日本ハム)の2人だけ。高橋宏は1位の江夏に迫る数字で、右腕では大谷を上回りトップ。高卒2年目としては過去の名投手に引けを取らない奪三振率だった。ちなみに、昨季の佐々木朗は9・66。今季の数字では佐々木朗に軍配が上がるが、同じ2年目なら高橋宏が勝っている。

【イラスト】高卒2年目以内のシーズン奪三振率上位
【イラスト】高卒2年目以内のシーズン奪三振率上位

高い奪三振率は、中日にとっても珍しい。シーズン100イニング以上で奪三振率9・00以上の投手を球団別に見ると、中日で達成したのは07年中田(9・35)の1度だけ。全体でも122度(現12球団以外のチームで3人、7度)記録されているのに、中日だけ1人しかいないのは何とも不思議だ。多くの好投手を輩出している中日だが、三振を多く奪う先発投手は歴史的に珍しいようだ。そういった意味でも高橋宏の投球は、中日ファンには新鮮に映っているかもしれない。

【イラスト】球団別シーズン奪三振率「9.00」以上の達成人数、回数
【イラスト】球団別シーズン奪三振率「9.00」以上の達成人数、回数

高橋宏は後半戦を前に、昨年に同じ高卒2年目の奥川(ヤクルト)が記録した「18試合、105イニング」を1つの目標にかかげている。江夏、大谷級の奪三振率のまま目標のイニングをクリアできるか、注目したい。【多田周平】