日刊スポーツ評論家の三浦大輔氏(44)が、センバツ高校野球第5日の第2試合・国学院栃木-延岡学園を観戦した。

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 延岡学園の三浦正行監督(66)は、三浦氏が現役時代に指導者として世話になった。2軍のバッテリーコーチなどを歴任した同監督に、新人時代から長く指導を受けた。

 三浦氏 プロ入り当時のころから、たくさんボールを受けてもらった。調子が悪くて2軍落ちした時も優しい言葉で心のケアをたくさんしてもらった。親身な指導に助けてもらった選手は数多くいるだろう。

 13年に学生野球指導の資格を回復。昨秋、宮崎の延岡学園の監督に就任したと聞き、楽しみに甲子園へ向かった。

 三浦氏 「打って勝つ」というチームカラーを明確に、エラーから先制を許したが積極性を失わず、送りバントをせず、フルスイングでどんどん打って出た。

 1回に2ランなどで逆転し、4回には三盗と連打で2点を追加。5回に落球が絡んで追い付かれ、6回以降に国学院栃木の猛打と継投に敗れた。

 三浦氏 短所には目をつむって、長所を目いっぱい伸ばす。初回は硬さも見られたが、2回以降はノビノビとしたプレーが随所に見られた。当時を思い出したと同時に、選手との変わらぬ距離感が感じられ、懐かしく思った。国学院栃木の継投策、走者を堅実に進める送りバントの徹底も、立派なチームカラー。大きな舞台で表現できたことは素晴らしく、そこに優劣や正解はないと思う。厳しいチーム、野球を楽しむチーム。いろんなカラーがあっていい。学校の数だけ「色」がある。一番大事なことは、指導者の根底に選手に対する愛情があることだ。

 さまざまな「色」がぶつかり合う高校野球に引かれる。

 三浦氏 プロアマの垣根は低くなってきた。このいい流れが進み、将来はなくなれば…と願う。近年は野球人口の減少が叫ばれている。子どもにとって野球以外にも競技の選択肢が増えることはいいことだが、勝っても負けても野球からは人生に通ずるたくさんのことを学べる。センバツは90回目、夏の甲子園は100回の節目を迎える。野球界に携わる1人として「歴史を未来へつないでいかなくては」とあらためて感じた。【取材=宮下敬至】

延岡学園・三浦監督(撮影・前田充)
延岡学園・三浦監督(撮影・前田充)
横浜2軍バッテリーコーチ時代の三浦正行 氏
横浜2軍バッテリーコーチ時代の三浦正行 氏